FLEET FOXES

年末のこと───西新宿の場末の居酒家で始発電車を待ちながら、キリンジの堀込泰行くんと飲んでいるとき、昨年よく聴いていたアルバムの話になった。『○○○○が掘り出しものだったなあ……』と、いささか呂律の回らない感じで彼は呟いたんだけど、明け方だというのに店内は酔客だらけでやたらとガヤつき、よく聞き取れなかった。もちろんこちらも酔っていたし、話の流れもあったので、その時はあえて聞き直さなかった。
それでこないだ年始の挨拶と一緒にメールで訊ねてみたところ、案の定「掘り出し物」のくだりはまったく憶えておらず、でもおそらくは……と挙げてくれたのが、ウィルコとフリート・フォクシーズの新譜だった。
……あとビル・エヴァンスがトゥーツ・シールマンスと組んで作った『Affinity』。友達同士の無言の共鳴だろうか、なぜかぼくも同じこのアルバムと『Undercurrent
』を昨年よく聴いてた。付随してこんなエントリーも書いたっけ。
ウィルコの『Whole Love』はここにも挙げたとおり、もちろんぼくにとっても昨年のベストと呼べるくらいお気に入りの作品。かたやフリート・フォクシーズは名前こそ知っていたけれど、聴いたことがなかった(たぶんこの古風な雰囲気のジャケットに惹かれなかったせいだと思う)ので、さっそく『Helplessness Blues』と、2009年発表の『Sun Giant EP
』を購入してみた。
The Shrine / An Argument from Sean Pecknold on Vimeo.
Fleet Foxes – He Doesn’t Know Why from Sean Pecknold on Vimeo.
聴いていると、彼らの楽曲そのものに惹かれるより先に、今まで聴いてきたさまざまな音楽が次々と思い起こされ、しばらくはうまく集中できなくて参った。S&G、ケニー・ランキンの『マインド・ダスターズ』、中期ビーチ・ボーイズ〜バーバンク・サウンド的なハーモニーやアイディアも見え隠れしてるし、ビッグ・スターやREMなんか思い出したり……。
ちょっとバランスが変われば、苦手なタイプの音楽になりかねないほどレリジャスな要素が強いし、そういったバックグラウンドや知識(当然ながら語学力)抜きに、彼らの表現しようとするものを十全に受け止めるのは難しい。またアーミッシュのようにアセティックな彼らの眼差しが、どれくらい本気で真摯なものか、ぼくは知らない。でも、こんな凛とした音楽を作っているロックバンドって今の日本じゃちょっと見当たらないよな。
サウンドのスケール感や荘厳さもいっそう増した最新作『Helplessness Blues』より、こじんまりしていて、ふっくらとしたあたたかさのある『Sun Giant EP
』の方が個人的には好みでした。来日公演も今月あるみたいですね。どんな人が見に行くんだろう。泰行も行くのかしら。
