*今回、実験的にいくつか画像を入れてみました。

●サウス・ダコタ州バックホーン警察署

 留置所のなかで、頭を抱えているビル校長。
 そこへ妻のフィリスが、デイヴ刑事に伴われて、面会にやってくる。
 檻の中では、監視も立てずに夫婦ふたりきりになっちゃったけど、アメリカの警察はこんなにゆるいシステムなのかね。それとも釣り仲間ゆえの温情?
 ビルは妻に弁明をする。
 「現場にはほんとうに行ってない。でも、あの夜、彼女の部屋にいる夢を見た」
 フィリスは答える。
 「いいえ、指紋が残ってたじゃない。ルースのところに行ったに決まってるわ。だいぶ前から浮気してることは知ってたんだからね。くたばれ、ゲス男」
 「なに言ってんだ、この野郎。おまえもじゃねえか! 弁護士のジョージや、他の男とデキてることを俺も知ってんだぞ!」と、ビルも応戦する。
 だが、捕まっちゃってるビル校長のほうが圧倒的に立場は弱い。
 「あんたは終わりよ、ビル。一生刑務所のなかにいるがいいわ」と捨て台詞を吐き、フィリスは去っていく。

 あくまでこれはぼくの想像なんだけど……ビルはほんとに殺されたルースの部屋には行ってないだろう。いや、少なくとも現実世界のビルは行ってないと思う。心のなかで「いいなあ、あの女」くらい思ってたかもしれないけどね。
 実際に浮気してた相手というのは、前回、ビルが事件当日に会議のあと「車で送った」と証言していた秘書のほうじゃないかと睨んでいる。

 ふたたびうなだれているビルが映る。
 カメラはビルのいる場所からゆっくり横移動していく。
 すると、隣の檻に謎の男がいる。
 一見ホームレスのような格好だが、全身、洋服も皮膚も、すべてコールタールを塗りつけたようにドス黒い。
 しかし、目だけが異様に真っ白くて、闇のなかでギラギラ光り輝いている。
 そして、すっと透明になって消えてしまった。

 この謎の男。なんとなく見覚えがあるような……。
 劇場版に出てくるシーン(29分30秒あたり)で、廃屋のような場所に、ボブ、小人、トンガリ鼻の白いお面に赤スーツの男、トレモンド夫人と少年らといっしょに座ってる、ニットキャップに髭ヅラの男に似ていると思った。
 としたら、ボブがリーランドに乗り移ったように、ひょっとしてこいつがビル校長を操ってルースを殺させたのだろうか?

●サウス・ダコタ州バックホーン、ビルとフィリスの家。

 警察署から帰宅するフィリス。
 浮気相手の弁護士ジョージがまもなくここへやってくることになっている。
 旦那は絶対に帰ってこないだろうし、これからは密会し放題だ。
 だが、誰もいないはずの室内に人影がある───ミスターCこと、黒クーパーだ! 彼がいたのもバックホーンだったのだ。
 「よくやったな」  彼女とはどうやら顔見知りのようである。
 そして黒クーパーは無抵抗のフィリスをピストルで撃つ。もんどりうって倒れるフィリス。
 銃を無造作に投げ捨て、立ち去っていく黒クーパー。
 ルースはベッドのなかで左目を撃ちぬかれていたが、フィリスは右目を撃ちぬかれて死んでいる。
 ルースを撃ったのも黒クーパーなのか?
 ちなみに、黒クーパーが使った銃はジョージのものだ。あとでこの家にノコノコやってくるジョージの運命やいかに。

●ネバダ州ラスベガス

 またまた別の町が登場! 今度はラスベガス。
 やたらラグジュアリーなオフィス。ロジャーという愚鈍そうな若者が、ダンカン・トッドという名の上司に呼び出される。
 ダンカンから札束ふたつを渡され、ロジャーは「”彼女”を雇ってこい」と命令される。
「なぜ”彼”に従ってこんなことをするんですか?」とロジャーはトッドの行動に疑問を唱える。
 トッドはそれには答えず「お前は”彼”のような人間と一生関わるんじゃないぞ」と忠告。
 いったい”彼女”が誰か、また”彼”が誰のことかは明かされない。どうせろくな人間じゃないだろうけどね……。

 ラスベガスがあるネバダ州は、古くから21ものネイティヴ・アメリカンの部族が暮らしていて、現在も大規模なインディアン保留地がある。
 かつてその保留地近くでは核実験が何度も行われ、深刻な放射能汚染が社会問題になった。
 また、黒クーパーが暗躍しているサウスダコタ州も、かつてスー族の支配下にあったことから、「グレート・スー・ネイション(偉大なスーの国)」と呼ばれている。”ダコタ”という地名の由来は、スー族の言葉で「仲間」という意味らしい。
 つまり、ネバダ、サウスダコタともに、ネイティヴ・アメリカンとは因縁深い土地なのだ。

 ちなみに『ツイン・ピークス』の初期段階では、隣のノース・ダコタ州を舞台にするという構想があった。
 丸太おばさんが電話でホークに伝えたメッセージ(「あなたのルーツを……」)と、このネバダ&サウス・ダコタという土地ともリンクしている(ような気がする)。

●サウス・ダコタ州の踏切〜ダイナー

 踏切で警告音が鳴っている。はるか遠くの方から長い長い貨物列車が警笛を鳴らしながら近づいてくる。
 近くのダイナーで、黒クーパー、レイとダーリャ、そしてジャックと呼ばれている薄汚い中年男が食事している。
 黒クーパーが食べているのは、コーンクリームスープ(ガルモンボジア)?
 「あの女が持っている俺が”欲しい情報”を聞き出してこい」と黒クーパーはレイに命令する。「きっとお前には教えるはずだから」と。
 「ヘイスティングスの秘書だから大丈夫さ。きっと確かな情報だ」と答えるレイ。
 ヘイスティングスとは、勾留されているビル校長のファミリーネーム。
 黒クーパーたちが暗躍している理由ははっきりしないけれど、彼らの企みによって、ビル校長たちが陥れられたことは、なんとなくわかってくる。

●ツイン・ピークスのどこかの森

 森の中を懐中電灯の灯りを頼りに、何かを探しているホーク。
 そこへ丸太おばさんから携帯電話に着信が。
 「ホーク、今夜はどこを歩いているの?」
 「あなたの丸太が予言したように、今夜もここで何かが起きそうだ」
 「星々が巡り、時間が正体を現す……わたしは体が弱っていて、あなたとは一緒に行けない。でも、あとでわたしの家に寄ってね。コーヒーとパイがあるわ。そして何が起きたか教えてね。ホーク、気をつけて」
 「ああ、必ずそうするよ。もうすぐ例の場所だ。おやすみ、マーガレット」

 涙無くしては見れないシーン……。
 そのあとホークはブラックロッジの入口に到着。闇の中を飛び去るフクロウの羽音を聞く。
 前シリーズで示されていた入口の”目印”は12本のカシモアの木と、焦げたエンジンオイルが溜まっていること。だが、このシーンに目印ははっきり映らない。 

●赤い部屋(現在)

 誰もいない赤い部屋。
 真っ赤なビロードのカーテン、椅子が三脚。ランプスタンドがふたつとミロのビーナス。コーヒーテーブルの上に土星をかたどった緑色のランプシェイド。

 カットが変わると、現在のクーパーがいる。ジャケットの襟元に今度はFBIの記章が輝いている。
 彼の前には、片腕の男(マイク)が座っている。
 「これは未来か、それとも過去か?」 例の逆回転風の声で、マイクが語りかける。
 「誰かがここにいる」とクーパーに言い残して、マイクは姿を消す。

 マイクと入れ替わるように、25年後のローラがクーパーのところに歩み寄ってくる。誰かとはローラのことだったのか。
「こんにちは、クーパー捜査官。あなたは今、ここから出ていけるのよ」
 クーパーはきょとんとした表情のまま、何も答えない。
 「わたしのことが誰だかわかる?」
 あまりにクーパーが固まったままなので、死人のローラも思わず心配になったのかもしれない。
 「君はローラ・パーマーか?」 質問に質問で返すクーパー。
 「彼女を知っているような気がするわ」 これが合コンならもはや修羅場だ。
 「でも、ときどき、わたしの腕が、後ろに曲がるの」 と、わけのわからない返答で追い打ちをかけるローラに対して、クーパーはさらに身も蓋もない質問を投げ返す。
 「君は誰なんだ?」
 「わたし……ローラ・パーマー」
 もし、脚本学校の生徒がこんなダイアローグを書いてきたら、赤点確実だろう。
 で、ローラが手のひらを顔にやると、輪郭に添って切れ目が入り、亀の甲羅のようにパカっと顔が開く。中からまばゆい光が放たれて、クーパーを照らす。
 顔をぴたりと閉じ、ローラは立ち上がって、クーパーに近づき、くちづけする。
 そして、なにやら耳打ちをする。
 そのあと、ローラは急に金切り声を上げながら、昭和の特撮ヒーローのごとく、両手を真上に伸ばし、直立した姿勢のままどこかへ飛んでいってしまった……。

●サウス・ダコタ州のどこか、車のガレージ

 ベンツから別の高級車に車を乗り換えようとしている黒クーパー。
 ジャックがシャッターを閉めている。彼が車庫を管理しているようだ。
 鍵を預かると、黒クーパーはやおらジャックのほっぺを指でつかみ、ムニュムニュムニュと数十秒間、黙って執拗に揉みほぐす。なにしてんの? この人。

●サウス・ダコタ州のどこか、モーテル

 黒クーパーが部屋へ入ってくる。慌てて電話を切る下着姿のダーリャ。じつにナイスボディだ。
 誰と話してた? と問う黒クーパーに対し、ジャックよ、と答えるダーリャ。

 ベッドに入り、彼女を抱き寄せる黒クーパー。
 「ジャックは死んだ。車に細工させた後で俺が殺した」
 じつは彼女の電話の相手はレイで、ダーリャたちは黒クーパーを殺す計画だった。

 依頼主や理由ははっきりわからないが、彼を殺せば、50万ドルという報酬が得られることになっていた、とダーリャが白状する。
 やおら黒クーパーが重要な事実をダーリャにつぶやく。
 「明日、俺はブラックロッジに戻されることになっていた。だが、そうさせない手を打ってある……」

 ダーリャは返答しない。そもそも彼女が黒クーパーという存在について、どれほど理解しているかは、まったくわからない。
 黒クーパーはダーリャにまた質問をする。
 「レイは秘書から”座標”を聞き出していないのか?」
 「何も知らない。でもレイは秘書から何かを聞いたって言ってたわ」と彼女は答える。

 黒クーパーは革ジャケのふところから、蟻の頭のような絵が描かれたトランプ(スペードのエース)を取り出し、ダーリャに見覚えが無いか、と尋ねる。首を横に振るダーリャ。
 結局、彼女を射殺してしまう黒クーパー。

 部屋の中においてあったトランク型の通信装置を起動し、誰かと会話をはじめる。

 C「フィリップ?」
 P?「遅かったな。ニューヨークで待ってたんだぞ。今もバックホーンか?」
 C「あんたは”どこでもない場所”にいるのか」
 P?「ブリッグス少佐(ボビーの父。軍で宇宙を飛び交う電波を研究していた。第18話でクーパーと釣りに出かけているとき、姿を消す)と会ったみたいだな」
 C「それをなぜ知ってる?」
 P?「……おまえとはこれでお別れだ」
 C「なあ、あんた……ほんとにフィリップ・ジェフリーズ(映画版でデヴィッド・ボウイが演じていたFBIエージェント)だよな?」
 P?「おまえは明日(ブラックロッジに)戻り、俺はまたボブと一緒になる」
 C「おい、いったいあんたは誰なんだ?」

 通信の相手はフィリップなのか、そうでないのか。今のところ不明。
 ただし、すべてが黒クーパーの思惑通りに進んでいるわけではなさそうだ。

 一方的に会話が打ち切られたあとで、トランクのなかのパソコンを使い、なにかを調べ始める黒クーパー。
 画面上の地図に”ヤンクトン連邦刑務所”という場所が表示される。
 FBIのアカウントとパスワードを使って、刑務所のシステムにアクセスし、何かをダウンロードする。
 データが落ちてくる間、電子回路のようなもの、数字や記号の羅列が次々と画面に映る。とても2017年のドラマとは思えないほど古臭い表現だ。

 ダウンロードし終わると、モーテルの隣の部屋に移動する黒クーパー。
 部屋では女がひとり待っている。名前はシャンタル。彼女も手下らしい。黒クーパーは彼女にダーリャの遺体の処理を命じる。
 そして夫のハッチとある場所に行ってもらいたい、と命令を出す。
 シャンタル役はジェニファー・ジェイソン・リー。近作だと、タランティーノの『ヘイトフル・エイト』で演じたウルトラビッチ、デイジー・ドマーグ役が超印象的だ。
 

●ふたたび赤い部屋

 クーパーは大きなジャガイモのような頭がついた”木”に出会う。
 頭のかたちは、かつてリンチがプロデュースした、ジュリー・クルーズのアルバム『The Voice Of Love』のオブジェを想起させる。
 ”木”の正体は”腕”で、25年前は踊る小人だったが、今はこの姿になっている……とクーパーに説明する。

 たしかに小人は、テレビシリーズの最終回で「When You See Me Again, It Won’t Be Me. (次に会う時のわたしはわたしではない)」というセリフを言っていた! だからこの突拍子もないメタモルフォーゼも、辻褄が合っているというわけだ。
 現在は”木”であり、”元・小人”である”腕”は、クーパーに「おまえのドッペルゲンガーを探し、ここに連れ戻せば、おまえがかわりに元の世界へ戻れる」「2…5…3…何度も何度も繰り返す」というメッセージを伝える。

 元の世界に戻るべく、赤い部屋の通路を右往左往しているクーパー。
 途中で白い馬、死んだはずのローラの父リーランド、ふたたび”木”や片腕のマイクと出会う。まるで最終回の展開をさかのぼっているかのようだ。しかし彼らはとても混乱した様子だった。

「変だ……なにかがおかしい」
「ドッペルゲンガー……」

 クーパー捜査官のドッペルゲンガーである黒クーパーが「ブラックロッジに自分が連れ戻されないよう、策略を立てている」と話していたことと関係があるかもしれない。

 そんなとき、クーパーがあるカーテンを開くと、そこに荒野の中をまっすぐに伸びた一本の道が出現した。現実の世界だ。
 黒クーパーが車でやってくる。
 その様子を見て、”木”が悲鳴を上げ、画面が大きく歪む。

 「非!存!在!(non-exist-ent!)」

“木”が断末魔の叫び声を上げた!
そして大音響とともに床が裂けると、クーパーはそこに落下した!

 ビターーーン!

 クーパーの体がなにかに叩きつけられる。
 ん? 見覚えのある場所?! あ、ニューヨークのガラス箱!
 ガラス箱は建物の外にもせり出す構造になっていて、クーパーはそこに落ちてきたのだ。
 中と外とを繋いでいた穴の中をふわふわとクーパーは浮かびながら、ガラス箱の内部に進入する。
 監視役のアホ男が座っていたソファも正面に見えるが、男の姿は見えない。

 ああ、いた。
 第1話で出てきたシーンがここでインサートされる。姿の見えなくなった警備員を男が探している場面だ。もちろんかたわらにはコーヒーを持った女もいる。
 そしてカップルがガラス箱のある部屋に戻ろうとするタイミングで、クーパーがふわふわと浮かんでいるガラス内部の空間が急激に変形し、彼を閉じ込めてしまった。
 クーパーはまた異空間の中を超高速でどこかへ連れ去られていく……。 

●ツイン・ピークスのパーマー家のリヴィング

 ローラの母、セイラが酒を飲みながらドキュメンタリー番組(ライオンがバッファローを集団で捕食しているシーン)をうつろな目で見ている。夫も娘も失ってしまった彼女の表情は完全に生気がなく、生活は荒みきっているようだ。
 しかし、ライオンがバッファローの首元に噛みついて鮮血がしたたるのを見た瞬間だけ、カッと目を開く。
 ある意味、この『ツイン・ピークス』というドラマの最大の被害者は彼女と言えるだろうな。

●ツイン・ピークスの酒場(ロードハウス/バンバン・バー)

 25年前のシリーズでは「ロードハウス」と呼ばれていたあのバーだ。
 場内は相当な賑わいを見せている。相変わらず娯楽の少なそうなツイン・ピークスでは、遊び足りない人たちが集うスポットであり続けているようだ。

 ステージ上ではThe Chromaticsというバンドが、彼らの曲「Shadow」を演奏している。

 彼女たちの演奏が流れるなか、バーの中をカメラがゆっくりと移動していく。
 ボックス席ではダブルRダイナーの看板娘だったシェリーが、ママ友たちとテキーラをショットでキメながら、ダベっている。どうも娘(誰との子だろう?)の旦那がクズらしい。
 ローラとダナの親友だったジェームズも店にやってきた。以前よりも表情は明るくなり、雰囲気も精悍になっている。
 右手に緑色の大きな手袋をした若い男(クレジットによるとフレディ・サイクスという名前らしい)を伴っているが、どういう人物だろうか。

 死んだジャック・ルノーそっくりのバーテン(ジャン・ミシェル・ルノーという名前らしい。なぜかオリジナルシリーズでジャックを演じていた同じ役者が演じている)が、カウンターで店内に目を光らせている。
 レッドという男(『ロスト・ハイウェイ』に出ていたバルサザール・ゲティ)がシェリーに色目を使う。

 そして、The Chromaticsの演奏シーンは続き、スタッフやキャストロールが流れ、第2話も終了。


 ツイン・ピークスの住人たちもちょっとずつ登場するようになり、今回(アメリカでは第1話と同日に連続放送された)でストーリーが本格的に進行し始めた。
 細部はともあれ、ツイン・ピークス以外の場所で起こっている事件が、なにかしらクーパーの失踪と連動していることもなんとなく掴めてきた。

 ただ、セリフで示されることや展開に謎が多く、細かく書き出していかないと整理しきれない部分が多い。
 もう少し物語が進めば、この観察日記の書き起こし作業もちょっと楽になるかな……。