このところアメリカのショービズ界を激震させている、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ騒動。
 ワインスタインといえばミラマックス。ミラマックスと聞けば、反射的に思い出すのがクエンティン・タランティーノ。
 デビュー作『レザボア・ドッグス』の配給をミラマックス(ワインスタイン兄弟が設立していた会社)が担当して以降、最新作『ヘイトフル・エイト』まで、病めるときも健やかなるときもタランティーノを支え続けてきたのが、ワインスタインでした。もちろん今回の騒動では当のタランティーノも槍玉に上がっていて、ワインスタインの問題行動を知りながら、長年黙認してきたことを懺悔するコメントを発表していました。
 
 ワインスタインはタランティーノのような才能ある若手監督をフックアップしたり、歴史ある大手映画会社が作らなかったような、野心的な作品をヒットさせてきたところが高く評価されてきたわけで。
 彼がプロデューサーとして手がけた数百本の作品リストをあらためて眺めてみると、自分の大好きな映画がそこにたくさん含まれていて驚きます。
 ハリウッドの暗部をテーマに『マルホランド・ドライブ』を作ったリンチも、ショウビズ界の汚れた舞台裏はさまざま見聞きしていたことでしょう。たとえば、今回の『ツイン・ピークス』にも出演しているアシュレイ・ジャッドも、この騒動のきっかけになった『ニューヨーク・タイムズ』紙の告発記事で証言をした女優のひとりです。
 
 もちろんリンチだって自分の映画に使ったイザベラ・ロッセリーニやフィルムエディターだったメアリー・スウィーニーと付き合ったりしてるわけで、清廉潔白とは言えない部分もある(笑)。ただ、リンチは監督という立場を利用して、俳優たちに何か裏で要求したりするような人間ではないと思う。

 これまで彼は資金面で苦労することが多かったけど、手を差し伸べてきたのはワインスタインのようなハリウッドの大物ではなく、主にフランスの映画会社でした。
 だからと言って、アンチ・ハリウッドを声高に叫んでいるわけではないし、自分の作りたいものを自分のペースで作ってきたのがデヴィッド・リンチという人。引退状態だった俳優でさえ、今回の『ツイン・ピークス』には多数参加していて、この作品が遺作になった人も多い(つい数日前、マックレイ刑事役のブレント・ブリスコーも急死)。
 アメリカでの視聴率を見れば、この新作シリーズも大惨敗という結果だけど、かと言って、製作者や出演した俳優たちから無能とレッテルを貼られることは、まずありえない。リンチの作品を難解だという人がいても、彼個人を揶揄するような発言をインタビュー記事などで目にしたことは一度もありません。

 ダギー/クーパーは関わる人たちをハッピーにし、黒クーパーは関わる人たちを皆不幸にしていくけど、ひょっとしたら、リンチも自身の黒い部分をドッペルゲンガーとして作品化することで、一個人としてはどんどん浄化されてるのかも?

 そんなわけで、今回の第13話はダギー/クーパー、ひさびさ登場の黒クーパー、そしてツイン・ピークスの懐かしい顔ぶれを中心とした展開に。

●ラッキー7・インシュアランス

 3,000万ドル(約35億円!)の小切手をダギー/クーパーから手渡されたミッチャム兄弟が、キャンディ以下3人娘&ダギーと、電車のようになって踊りながらオフィスを練り歩く。ちなみにこういう踊りのことを英語では”Conga Line”と呼ぶ。
 終着駅は社長室。笑顔で電車の到着を迎えたブッシュネル。
 ミッチャム兄弟は社長へのプレゼントを用意。それをキャンディがひとつずつ紹介。
 まずはキューバ産の最高級葉巻、名前入りのダイヤモンド・カフス、そしてBMWのコンバーティブル……これはダギーとお揃いらしい。
 利害関係にあるマフィアまがいの人物から贈り物をもらうなんて、会社のコンプライアンス的に大丈夫かと心配になるが、社長はよろこんで受け取る模様。
 かたや、この状況に驚いてるのはアンソニー。下りるはずのなかった保険金が下りたうえに、ダギーやブッシュネルたちがミッチャム兄弟と仲良くなるなんて、完全にヤブヘビ状態だ。
 慌ててダンカン・トッドに連絡するも、自分で明日までにカタを付けろ、と念押しされるアンソニー。

 このシーンのあいだじゅう流れていた、チャカチャカしたBGMがとにかく異常(クレジット無し)。
 何かの曲を早回ししてるかと思って(第1話のMuddy Magnolias「American Woman」の逆パターン)、再生速度を遅くして聞いてみたけど、なにもわからなかった。

●ダギー・ジョーンズの自宅

 シルバー・ムスタング・カジノのツナギを着た作業員がトラックでやってきて、ミッチャム兄弟からの贈り物をダギーの家の前に下ろしている。運んできたのは子供用のジャングルジムのようだ。
 突然のことに驚くナオミ・ワッツ。だが、プレゼントはそれだけではない。大きなリボンのついたBMWの新車(大きなピンクのリボン付き)もある。これを見つけた途端、表情が崩れる。このサプライズにダギーが関わっていることに気が付いたのだろう。
 夜になると、裏庭に電飾や照明がともり(これもミッチャム兄弟のプレゼント)、サニー・ジムが狂ったように遊具で遊んでいる。見守るダギーとナオミ。
 自分と関わる人たちを皆幸せにしていくダギー/クーパーのパワー、おそるべし。

●モンタナ州西部のどこか

 東はサウスダコタ州、西はワシントン州と接しているモンタナ州。徐々にツイン・ピークスへ向かって物語の線が延びていく。
 一台の大きな黒いピックアップトラックが殺風景な車庫に乗り付ける。
 壁いっぱいもある巨大なビジョンが防犯モニターになっていて、レイと他数人が謎の侵入者の様子を見守っている。
 車から降りてきたのは黒クーパー。自分が殺したはずの男が五体満足で現れたから、レイが驚くのも不思議ではない。
 レイの横に立っていた腕っぷしの強そうな大男レンゾ。彼がどうやらこの悪党グループのボスのよう。殺す前に俺にいたぶらせろと言い出す。

 実はこのレンゾ、アームレスリングのチャンピオンで、なんと14年間無敗。腕力には相当な自信があるようだ。
 そこで彼は黒クーパーに条件を出す。もし腕相撲でレンゾに負ければクーパーは彼の子分にならなければならない。従わないと死あるのみ。黒クーパーは、自分が勝てば、レイを俺によこせ、と逆提案。双方、それを飲む。

 別室に移動すると、アームレスリング台がセッティング済。二十人くらいの取り巻きがまわりを取り囲む。
 いざ試合が始まると、レンゾはまったく歯が立たず、黒クーパーに弄ばれる。
 自分の命がかかっているレイは、レンゾの劣勢を見かねて、何度も銃で黒クーパーを撃とうとするが、取り巻きに制止されてしまう。
 さんざん弄んだ挙句、黒クーパーはレンゾの腕をへしおり、顔のど真ん中をジャイアンばりのパンチ一閃。レンゾの顔はのび太のようにめりこみ、絶命(WOWOWはまた死体を灰色に修正)。

 レンゾの遺体とレイを残して、下っ端たちはそそくさと退散。自分も逃げ出そうとしたレイの太ももを銃で撃ち抜く、黒クーパー。
 雇い主は誰か、ヘイスティングス校長の秘書から聞き出していた”座標”を教えるようにレイを脅す。
 レイはあっさりとフィリップ・ジェフリーズの名前を挙げる。とはいえ、彼からは電話で指示がくるだけで、実際には会ったことがないようだ。
 フィリップは刑務所の所長と組んで、黒クーパーが持っている”何か”を手に入れようとして、レイに黒クーパーを殺させようとしていた。

 ここでポケットから何かを取り出すレイ。ひとつは”座標”が書かれたメモ、もうひとつはふくろうの指輪だ。フィリップは黒クーパーを殺したあと、彼の左手の薬指にこれを嵌めろとレイに指示していた。黒クーパーはその指輪をレイに嵌めさせる。
 彼ら二人のやりとりを別室の大型ビジョンで見ている下っ端たち。そのなかに先程はいなかった人物が紛れ込んでいる───リチャード・ホーンだ。奴もこのグループの一味だった。もし彼が黒クーパーとオードリーの間に生まれた子なら、モニターを挟んで親子が対面しているわけだ。

 黒クーパーはレイにフィリップ・ジェフリーズの居場所について質問する。「『ダッチマン』という店にいるって話だが、実際にあるのかどうか……」とレイが答えると、それで用が済んだのか、銃でレイの頭を撃ち抜く。そしてひとこと「その店なら知っている」。
 レイの左薬指から指輪が徐々に消えていく。すると赤い部屋へ指輪といっしょにレイの遺体が転送される。指輪にこんな機能あったっけ?
 赤い部屋にいた片腕の男がその指輪を回収する。

 レンゾ役、デレク・ミアーズは、リメイク版『13日の金曜日』でジェイソンを演じたり、『メン・イン・ブラック2』や『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』などで、怪物や悪役を数多く演じている役者。リングス・オランダのヘルマン・レンティングスそっくり。

●ラスベガス警察

 ダギーの指紋の照合結果が刑事たちの手元に届く。サウスダコタの刑務所から脱走した元FBI捜査官のものと一致……という報告を見て、そんなわけねえだろ、と彼らは一笑に付す。書類も丸めてゴミ箱にポイッと捨てられる始末。
 そこへダギーの同僚のアンソニーがやってくる。知り合いのクラーク刑事に会いに来たのだ。ダンカン・トッドやアンソニーと組んで悪事を働いていた汚職警官だろう。
 アンソニーはバレにくい毒はなにか、とクラークに尋ねる。クラークのオススメはアコニチン(トリカブト)。5,000ドル払えば自分が用立ててやる、ともちかける。承諾するアンソニー。いまさらジタバタしても手遅れだと思うけどな……。

●ユタ州のハイウェイ

 夜の高速道路を車で走っているシャンタルとハッチ。交通標識にユタ州の地名<Provo / Orem>とある。サウスダコタで所長を射殺し、その足でダギーを仕留めにラスヴェガスへ向かっているのだろう。
 二人はユタ州ってことで、コーヒーやアルコール、婚前交渉、一夫多妻……といったモルモン教について知っていることを話し込んでいる。
 「一夫多妻を認めてるのになんで信者は増えないの?」とシャンタル。
 「きっとアルコールが飲めないせいね」と自分で結論を出して納得している。

●ラッキー7・インシュアランス

 もらったばかりのBMWでナオミがダギーを会社に送り届ける。
 入り口ではアンソニーが待ち構えていて、ダギーを例のコーヒーショップ(ダギーの命を救ったチェリーパイを売っていた”Szymon’s Famous Coffees”という店)へ誘う。
ふたりでコーヒーを飲んでいたのだが、ダギーはショーウィンドウのチェリーパイに急に目を奪われ、自分の席を立ち、そちらへ歩いて行ってしまう。
アンソニーはその隙に、昨日クラーク刑事から手に入れたトリカブトの粉末をダギーのマグカップの中に入れる。
 あとはダギーがそれを飲むだけなのだが、席に戻ってくる途中、ダギーはアンソニーの背後に立ち、彼の肩のあたりをじっと見て、やさしくマッサージをはじめる。アンソニーの背広の首元はなぜかフケだらけ。
 するとアンソニーは泣き出し、「君を殺そうとするなんて!」と猛省。マグカップを持ってトイレに走りこみ、毒の入ったコーヒーを捨ててしまう。
 あとに残されたダギーはアンソニーの飲みかけのコーヒーと、運ばれてきたチェリーパイを美味しそうに食べる。

 で、お店のロゴを見てて気づいたのですが、このラッキー7の一階にある”Szymon’s”。第1話でバカップルのトレイシーが買ってきたのも、この”Szymon’s”のコーヒーじゃないだろうか?
 手書きの”Z”ロゴが酷似している。芸が細かい〜〜。

●ダブル・R・ダイナー

 今日も店は大盛況。シェリーが忙しそうに働いている。そこにベッキーから電話。どうやらクズ旦那のスティーヴンが2日も帰ってこないらしい。そりゃ浮気相手の家にピストル持って乗り込む嫁がいる家には、生半可な覚悟じゃ戻れないだろう。
 落ち込んでいるベッキーを励ますため、ダブル・Rに顔を出すように誘うシェリー。ソフトクリームとホイップクリームをたっぷり乗せたチェリーパイを奢ってあげる、という口説き文句で。よろこんで応じるベッキー。バカ母娘……。

●ラッキー7・インシュアランス/ブッシュネルのオフィス

 社長の前でうなだれているアンソニー。自分がダンカン・トッドに雇われていたことを白状するが、ブッシュネルはダギーによって、すでにその悪事は暴かれていたと話す。あの鉛筆の落書きですべてを察した社長はすごい。
 ブッシュネルはアンソニーを刑務所にぶちこむつもりだったが、彼が裁判で洗いざらいすべてを証言し、命をかけて悔い改める覚悟だと知って、許す気になる。悪人さえ瞬時に改心させるダギー/クーパーのハッピーパワーはものすごいのだ。

●ダブル・R・ダイナー

 今度は夜のダイナーの外観。ちょっと前から気になっていたのだが、昔よりもぐっと外観がポップになり、壁には<RR2GO!>なるキャッチフレーズまで書かれている。で、変化の理由がこのシーンで明らかになる。
 勤務を終えたボビーがダイナーにやってくる。シェリーに会いたかったらしいが、彼女はもう帰宅済。いつものメニューを注文すると、奥のボックスシートにノーマとビッグ・エドが座っていることに気づく。ふたりには相席するように促されるが、邪魔しちゃ悪いから……と一度は遠慮するボビー。まだこのカップル続いてたんですね。だが、結局、彼らは三人で狭いテーブルを囲むことになる。
 エドに「なにか最近のニュースは?」と聞かれ、ボビーは父親の形見が発見された、と話す。例の金属製のロケットのことだ。これが発見されたのはちょうど一ヶ月前に放送された第9話だったわけで、視聴者が体験している時間の流れと、ドラマの中のタイムラインのギャップがものすごい(笑)。

 そこにウォルターという男がやってくる。ノーマのビジネスパートナーらしい。だが、ただの仕事仲間よりも親密な空気感がある。エドとボビーは別のテーブルにそそくさと移動する。
 ウォルターはiPadを取り出し、ノーマにあるレポートを見せる。それはノーマがフランチャイズで経営しているダブル・Rグループの営業実績。なんと彼女、現在では5店舗のダイナーを経営する実業家になっていたのだ。
 ただ、そのうち3店舗が黒字経営なのだが、本店は大幅な赤字。その原因はノーマがこだわっているパイの原料高だ、とウォルターは言う。
 いっぽうノーマは、本店以外の店で提供されているパイは、彼女のレシピを忠実に再現していないのではないか、と疑っていた。
 ウォルターはその点について否定するが、彼女のこだわる〈地元産のオーガニックな材料を使う〉という点については、各店の裁量だ、とごまかす。
 そのうえで彼は、本店の名前も他のフランチャイズ店同様に〈ノーマのダブル・R〉に改名するよう提案する。
 しかし、ノーマは半世紀以上、ツイン・ピークス住民に愛されてきた名前を簡単に変えることはできない、と言う。そりゃそうだ。
 話は平行線だが、黒字化のお祝いに、とウォルターが食事に誘うと、ノーマは笑顔で快諾する。ふたりの様子を少し離れた席から心配そうな顔つきでエドが伺っている。

●ネイディーンの店 “Run Silent Run Drapes”

 ネイディーンの店のショーウィンドウで、カーテンが自動開閉している。その中央にライトアップされた金色シャベルが浮かび上がっている。
 一台のピックアップトラックが店の前を通りかかり、急ブレーキ。バックして、そのショーウィンドウに目を留める。
 ネイディーンがパソコンに向かっていると、玄関ブザーが鳴る。
 ドアを開くと、そこにドクター・ジャコビーが立っていた。彼はウィンドウディスプレイを絶賛し、ジャコビーの放送の大ファンだったネイディーンは喜色満面。ふたりは再会を喜び合う。
 ちなみにジャコビーが彼女を最後に見たのは7年前の嵐の日で、ネイディーンはその時スーパーの床に落としたじゃがいもを這いつくばって拾っていたらしい(笑)。

●パーマー家

 完全に世捨て人と化したセイラ・パーマー。テレビで古いボクシングの試合を見ているようだが、あるKOシーンだけが何度も何度もリピートで映しだされている。ひょっとしてブッシュネルのボクサー時代の映像?
 飲み干した酒を補充し、グラスをかき回し、煙草を吸い、テレビをボンヤリと見つめる───ただそれだけのシーンが約3分間も延々と続く。

●オードリー・ホーンの自宅

 このシーンは先週からの続き。チャーリーがティナとの電話の内容を話さないので、すっかり混乱しているオードリー。
 どんなに懇願されても、チャーリーは話すつもりが無いらしい。
 オードリーが「自分が他の場所にいて、他の人間になった気分だわ。あなたはそんな気持ちになったことがないの?」と言うと、彼は「ないよ。常に最高の気分とは言わないが、自分は自分とともにある。まったく……まるで実存主義の授業みたいな会話だな」とこぼす。夫の無理解に逆上したオードリーは「自分しか信じられないのに、自分がわからなくなったらどうすればいいの?」と叫ぶが、チャーリーは「ロードハウスに行って、ビリーを探せばいいじゃないか」と答える。しかし、すっかり混乱しているオードリーはロードハウスの場所もわからなくなっている。

 チャーリー「君がゲームをやめないなら、わたしが君の物語を終わらせるぞ」
 オードリー「物語ってなんのこと? 通り沿いに住んでいた少女の物語のこと? そうなの?」
 チャーリーは何も答えない。
 オードリー「助けて、チャーリー。ここは……ゴーストウッドみたいよ」

 先週分もそうだけど、何度も同じシーンを見ながら、セリフを書き起こしていてもまったく会話のスジが理解できない(笑)。
 ただ〈通り沿いに住んでいた少女の物語〉というのは、第8話に出てきた奇妙な生き物を飲み込んだ女の子のことを思い出してしまう。
 また〈ゴーストウッド〉は、かつてオードリーの父ベンジャミンが所有し、開発を進めていた森林〈ゴーストウッド〉のことだろう。この森にはブラックロッジの入口”グラストンベリーグローヴ”がある。
 もしオードリーが黒クーパーと交わることで、リチャード・ホーンを産んだとすれば、そのせいで彼女にもなにかしらの精神的/肉体的影響があったのかもしれない。

●バン・バン・バー

 ナイン・インチ・ネイルズの時に登場した黒人司会者がふたたびライブアクトを紹介。
 「今夜ロードハウスに登場するのは……ジェームズ・ハーリーです」

 なんと今回はジェームズが登場し、あの伝説の歌声を披露(笑)。
 歌うはもちろん「Just You」。

 この曲はシーズン2の第9話のなかで披露されたジェームズの自作ソング。
 そのときはジェームズのヴォーカル&ギター、そしてドナとマディ(ローラの従姉妹)がコーラスをつけていた。今回もそれをきちんと踏襲し、女性コーラス二人を従えている。

 実際の作詞はリンチ、作曲はバダラメンティ。
 歌詞はこんな感じ。

Just you / And I / Just you / And I / Together Forever / In love
Just you (just you) / And I (and I) / Just you (Just you) / And I (and I) / Together Forever / In love

In love / We go strolling together
In love / We go strolling forever
Oh oh oh

 バカバカしいくらい単純な歌詞なので訳すのはやめておこう(笑)。
 25年経っても変わらないジェームズの甲高い歌声は、当時からあまり人気があるとは言えないのだけれど、ぼくはルイス・フューレイやアレックス・チルトンのような線の細い男性ボーカルが嫌いじゃないのだ。

 そんな歌に心打たれ、ボロボロ泣いている女性がひとり……エンドクレジットによるとこの人はRenee。第2話にも出てきたシェリーのママ友。だいぶしつこく彼女の表情をカメラが抜いていたので、このあともなにかしらストーリーラインに絡んでくるのかもしれない。

●ビッグ・エドのガソリンスタンド

 ふつうならロードハウスのシーンでお開きになるところだが、今回はジェームズの叔父にあたるエドのガソリンスタンドがラストに登場。
 以前と比べて、だいぶ外観はスッキリとした印象。
 オフィスのテーブルでひとり、エドがダブル・Rでテイクアウトしたスープとコーヒーを飲んでいる。
 時代に合わせて商売を拡大しているノーマに比べ、彼のガソリンスタンドはあまり流行っていないようだ。
 結婚指輪も外していないし、ネイディーンとの夫婦関係はなんとなく続いている一方、ひょっとしたら、ノーマとの仲も以前のままじゃないのかもしれない。

 エドは机の上においてあった小さく折りたたんだメモのようなものを取り上げ、それにマッチで火をつける。メモはあっという間に燃え尽きて、灰になってしまう。
 そんなエドの姿にクレジットが重なる。これまででもっとも切ないエンディング……。


 というわけで、今回の第13話。新シリーズの宣伝スチルに写っていながら、まだ姿を表していなかったビッグ・エドがついに登場。ダブル・Rやエドのガソリンスタンドの現状がわかるなど、オールドファンにはたまらない要素多かったけど、物語的にはほとんど進展はありませんでした。
 動き回っている黒クーパーはともかく、ダギー/クーパーは今回も覚醒せず、あいかわらず幼児化したまま。
 残りたった5回でどうオチをつけるつもりなのでしょうね(笑)。
 まあ、別にハッキリと解決してくれなくても、この世界に浸れているだけで、ぼくなんかは幸せなのですが。