今回は思うところあって前置き無し。粛々と書きます。

●サウスダコタ、メイフェア・ホテル

 FBIがサウスダコタの根城にしているメイフェア・ホテルの一室。捜査を終えたFBIチームがワインを嗜んでいる。
 アルバートがタミーに〈ブルー・ブック計画〉についてレクチャーを始める。「1970年にアメリカ空軍は〈ブルー・ブック計画〉を中止した。20年もかけてUFOの調査をしたが、実在する証拠もなく、国への脅威には成り得ないだろうと判断したのだ。要するに隠蔽だな───乾杯」
 3人は何かに乾杯する。おそらくはアメリカ政府に。
 アルバートが言葉を続ける。
 「数年後、軍とFBIが極秘のチームを立ち上げ、〈ブルー・ブック計画〉が解決できなかった事件の捜査を続行した。そこに関わった女性が死ぬ前に発した言葉をとって、それらを〈ブルー・ローズ〉と呼ぶようになった。わたしたちはそれらの答えを得るために、通常とは違う道を歩んできた。チームリーダーはフィリップ・ジェフリーズ。彼が3人のメンバーを選出した。わたしとチェット・デズモンド、デイル・クーパーだ。気づいているとおり、わたし以外のふたりは突然、姿を消してしまった。それゆえゴードンはチームに新たなメンバーを加えることをためらってきた……そう、今夜までは。エイジェント・プレストン。きみが高校生の頃にわれわれの目に止まって以来、M.I.T.(マサチューセッツ工科大学)、FBIアカデミーのいずれも主席で卒業してきた」
 「つまり、そのチームにわたしが入れるということですか?」とタミー。
 「そうだ」とアルバートは答える。タミーは興奮が隠し切れず、即答する。「参加します」
 3人はまた乾杯する。今度はタミーと〈ブルー・ローズ〉のために。

 赤いノースリーブのブラウス姿のダイアンがやってくる。
 アルバートは彼女にもこう切り出す。
 「クーパーから〈ブルー・ローズ〉のことをいろいろ聞いているはずだ。君はもうFBIの人間じゃないが、ぜひ臨時の捜査官となって、われわれのチームに参加して欲しい。見返りは少額だが払う。クーパーの身に何が起きたかも、きっとわかるはずだ」とダイアンを口説く。
 ダイアンはしばし考えた末にこう答える───Let’s Rock。

 旧シリーズの第2話。クーパーが夢の中で見たヴィジョンとして”赤い部屋”が初登場した時のこと。小人がクーパーに向かって呟いたのが、この”Let’s Rock”というフレーズ。
 おそらくダイアンはクーパーが吹き込んだテープでこの言葉を聞いているはずだ。

●ツイン・ピークスのどこかの森

 山の中を彷徨っていたジェリー・ホーンがようやく森を抜け出てくる。何かに追われているかのように全速力で走って飛び出してきた。この一連のシーンはなにかにちゃんと伏線が張られてるのだろうか? さすがになにか展開がありそうだ。

●ツイン・ピークスのスーパーマーケット

 セイラが棚に並んだ食料品を物色している。しかし、彼女が買い物かごに放り込むのはスコッチ・ウィスキーなどの大量のアルコール、そして煙草のみ。
 彼女が会計を済ませようとしていると、ふとレジカウンターの後ろにあった、見慣れぬ商品に目がとまる。
 パッケージにはアルバトロス(アホウドリ)印のビーフジャーキー、もうひとつはターキージャーキー(七面鳥ジャーキー)と書いてある。

 ちょうどローラが亡くなったのと同じ年頃のレジ係に、セイラは質問する。
 「あのジャーキーは新製品なの?」
 彼女は「はい、そうです」と答える。
 するとセイラは「あなたはあれが入荷したときもここにいた?」とさらに聞く。
 レジの女の子は「たしか2週間前くらいでしたけど、いましたよ」と答える。
 やりとりを繰り返す中で、あきらかにセイラの情緒が崩壊していく。
 そして、こんなことを口走る───あんたの部屋に男たちがやってくるわよ。気をつけなさい!
 彼女の中にもうひとり別の人格がいるみたいだ。精神が壊れそうになっているセイラを別のセイラがたしなめている。
 パニック状態になった彼女は、スーパーを飛び出していく。

●ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

 住人のクリスコルをカールが呼び止める。クリスコルはかなりの肥満で、膝が悪く、杖をついて歩いていた。
 カールは彼に言う。「おまえ、どうせ金が無くて血を売ってきたんだろう。そんなことはやめろ。お前は住人のためによく働いてくれている。しかも無償で。まず俺がそのお礼に50ドルやる。そして来月の家賃は払わなくていい。そのかわり食べるために血を売るようなことはやめるんだ。なにか困ったことがあれば、まず俺に相談しろ」
 クリスコルはカールに心から感謝して、もう二度と血は売らないと約束する。
 劇場版を見た時は、偏屈なダメ人間かとてっきり思っていたカールだが、さすがは初代ブックハウスボーイズ。男の中の男だ。

●ラスヴェガス、ダギーの家

 息子のサニージムが庭にダギー/クーパーを連れだしてくる。手には野球のグローブ。
 少し離れたところにダギーを立たせ、彼にボールを投げるサニージム。もちろんダギー/クーパーにキャッチボールなんて無理だ。
 肩口のあたりにポコッとボールが当たり、地面を転々と転がっていく。
 ダギー/クーパーが覚醒してこの家を出て行ったら、彼は父を失ってしまう。別離の日もさほど遠い話ではない。

●ラスヴェガス、ダギーの家

 ツイン・ピークスの山々のあいだを濃霧が立ち込めている。

 ホークがセイラの家を訪ねる。きっとスーパーでの騒ぎを聞きつけたのだ。
 パーマー家の外観が新シリーズに登場したのは初めてのことだ。この家で過去に起きたことをさまざまに思い返すと、胸が苦しくなってくる。
 ホークが玄関のチャイムを鳴らすと、セイラが出てくる。先ほどとは違って、すこし落ち着きをとりもどしているが、さっきの出来事について、はっきりと覚えていない、と語る。
 そのとき、家の奥でガラスの瓶が触れ合うような物音がする。セイラにホークが「誰か居るのか?」と訊くと、彼女は「いいえ、キッチンの何か(something in the kitchen)よ」と、こともなげに答える。ホークはそれ以上なにも彼女に聞かない。
 どんな些細なことでも何かあれば、かならず自分のところに連絡するようにセイラに言う。彼女は「ありがとう」と答え、ドアを閉める。

 セイラ役のグレイス・ザブリスキー、御年76歳の存在感。実は彼女も創作活動をしていて、アール・デコ風の箱や彫刻などの作品が公式ページで見られる。リンチほど奇抜ではないけれど、彼女の顔を思い浮かべながら見ると、納得の作風。

●ツイン・ピークスの病院

 全身傷だらけのミリアムがベッドで寝かされている。容体は安定しているようだが、意識があるかはまったくわからない。枕元に誰が持ってきたのか、紫のバラが飾られている。

●メイフェア・ホテルのバー

 ダイアンがバーでひとりカクテルグラスを傾けている。そこにメールの着信が。
 差出人はやはり”Unknown”。メッセージはひとこと〈Las Vegas?〉
 ダイアンは〈THEY HAVEN’T ASKED YET(彼らはまだ聞いてこない)〉と返信を打つ。やりとりはiMessageで行っている。ということは相手方の電話も必ずiPhoneのはずだ。
 ひょっとしたらダイアンがやりとりしている相手が黒クーパーじゃないのかも? そんな気がちょっとしてきた。

●グレート・ノーザン・ホテル

 ベンのオフィスにフランク・トルーマン保安官が訪ねてきた。
 保安官からリチャードのひき逃げのこと、そしてミリアムに対する殺人未遂容疑の件を伝えられ、うなだれるベン。
 ミリアムは保険に入っておらず、手術をしようにも金が払えないという。ベンはそれを全額肩代わりすることに同意する。

 ベンの話によれば、リチャードはやはり父親を知らず、昔から札付きの悪で、フランクの弟であるハリーの手も再三、煩わせてきたということだった。

 テーブルの上に置いてあった鍵にベンはふと気づく。彼のもとに届いた、例のクーパーが宿泊していた部屋(315号室)のキーだ。ベンはこれを病床のハリーに思い出の品としてプレゼントするつもりだった。
 じつはクーパーについて調べているのだ、とフランクはベンに話す。その奇妙なタイミングの符合を不思議がっているのだ。

 フランクが帰ると、かわりに秘書のビヴァリーがベンの様子を見に来た。彼は彼女に自分の子供時代の昔話を語る。
 父が買ってきてくれた中古の自転車で遊んだ日々。お父さんはそれを緑色に塗り直し、サドルも替えてくれた。黄緑色と濃緑色のツートーンだ。自転車には太いタイヤでついていて、乗りこなすのは難しかった。でも大好きな自転車だった。彼はその自転車を愛し、友だちと連れ立って走った。
 自分自身の〈善き日々〉について語ることは、ツイン・ピークスの善き時代について語ることでもある。
 ただ、今あるツイン・ピークスが、その頃とまったく変わってしまったこと、その責任の一端を、きっとベンは感じているはずだ。

 ベンは昔話を中断し、ビヴァリーにミリアムの治療費について、きちんと処理するように命じる。

●サウスダコタ、メイフェア・ホテル

 ゴードンのホテルの部屋。ワインレッドのセクシーなドレスを着たショートカットの女性が、彼の横に座っている。
 彼女を横にはべらせて、なにかの武勇伝を熱心に語って聞かせているゴードン。自分が監督だからって好き放題だな(笑)。

ノックの音が聞こえる。アルバートがやってきた。ゴードンに何か報告があるらしい。アルバートは女性に席を外すよう頼む。
快くそれに応じる彼女だが(フランス人らしい)、上着を着たり、バストの位置を直したり、ハイヒールを履いたり、口紅を塗りなおしたり、ワインをひとくちゆっくり飲んだり、ゴードンに愛想を振りまいたり……永遠にも思えるような無駄な時間をかけて(実測すると4分だったんだけど)、彼女はやっと部屋を出て行く……。

アルバートの報告とは、ダイアンが送ったさっきのメールの件。彼女が受信したメールの文面、送信したメールの内容にも、二人ともまったく心当たりがない。
すぐには結論が出ないとみるや、さっさとアルバートを追い払って、フランス女とのお楽しみタイムに戻りたいゴードン。呆れてなにも言い返せないアルバート。
 無言で立ち尽くしているアルバートに向かって、ゴードンは「ときどき君が心配になるよ」と、超おせっかいなひとこと。
 アルバートがゴードンに何十年も仕えてきたことを、心の底から讃えたいと思う。

●サウスダコタ、マーフィー所長の家

 黒クーパーの命令を遂行するため、連邦刑務所のマーフィー所長の家の前に車を停め、待ち伏せをしているシャンタルとハッチ。いつものやり方なら、拉致してさんざん拷問で傷めつけてから命を奪うのがシャンタルの好みのようだが、今夜は腹が減っているので、ハッチがサクッとライフルで狙撃して仕留めることに。
 車が家の前に停車し、所長が車を降りた瞬間、まず心臓付近に背後から一発、身体を起こしかけた瞬間、頭を撃ち抜く。
 玄関から飛び出してきた所長の息子が異変に気づき、泣き叫びながら、父の亡骸に駆け寄る。
 目的を果たしたハッチとシャンタルは車を急発進。ウェンディーズへハンバーガーを食べに向かった。

●ドクター・ジャコビーの家

  ネイディーンがまた熱心にジャコビーの番組を見ている。特筆すべき変化なし。

●オードリーの家、もしくはチャーリーのオフィス

 たくさんの蔵書が書架に並んでいる、暖炉がついた暖かな雰囲気の書斎。立っているオードリー・ホーン。ゆっくりカメラがパンしていくと、書類が山積みのデスクがあり、メガネをかけたスキンヘッドの男が難しい顔をして座っている。ふたりのあいだに平和的な会話が為されている気配はまったくない。
 オードリーが口を開く。「これ以上、おとなしく電話を待っているわけにはいかない。わたし、ロードハウスに行く。あなた、いっしょに来てもらえない?」
 「仕事の締切が迫っているんだ。無茶を言わないでくれ」 と男は答える。
 
このあと言い争いが果てしなく続く。ここまで一度も聞き覚えが名前も相当出てくる。細かく採録する必要性も感じられないが、がんばって会話の中身を拾ってみる。

 まず、オードリーと口論しているのは夫のチャーリー。で、彼女は2日前から姿を消しているビリーという男を探したい。ビリーは夫公認の愛人で、彼女と肉体関係にある。
 昨夜見たオードリーの夢にビリーが出てきて、鼻と口から血を流していた。彼女はそれを予知夢だと信じている。
 オードリーはティナという女性も見つけたい。ビリーを最後に見たのが彼女で、オードリーはティナと同じ部屋にいたくないらしい(←このへんはほんとうによくわからない)。
 ティナとは直接話をしたくないが、チャーリーにはそれができる。だから、彼女に電話をかけて欲しいとオードリーは思っている。
 また、オードリーはチャーリーに渡した書類にサインをして欲しいが、彼はその書類を怪しいと思っていて、弁護士に確認させるつもりだ。
 オードリーは、チャーリーが嫌なら、ポールに頼めばよかった、と恨み節をいう。しかし、チャーリーにとってそれは気に入らないことらしい。”夫”としての権利を傷つける行為だというのだ(←このへんはさらによくわからない)。

 要するに、オードリーとチャーリーは愛しあった末に夫婦ではなく、なんらかの利害関係のもとに、契約して夫婦関係を維持しているにすぎないようだ。

 まだ会話は続く。
 オードリー曰く。ビリーを最後に見たのはティナで、その事実をオードリーに教えたのはチャックという男。
 チャーリー曰く。チャックがビリーの車を先週盗んだらしい。車はその後、保安官によって発見された。ビリーは車を取り戻したので、盗難の訴えは取り下げた、という。

 なんだかんだあって、チャーリーがティナに電話し、事情を尋ねるが、彼が予期していなかった事実をティナから聞かされたようで、オードリーはその話の中身を聞きたくて焦れている。
 だが、電話を切ったあとも、チャーリーは終始無言。彼女の顔を見つめ返すだけで、いっさい口を開こうとしない───以上。

 ついにオードリー・ホーンが登場。演じているシェリリン・フェンは、25年前に女子高生だったキャラクターにしては、いささか貫禄が出すぎている気がする。だが、それは言わない約束にしよう。過剰な整形手術で外見だけでなく、キャリアも持ち崩してしまった女優があまりに多いハリウッドという世界(オリジナル・ドナ役のララ・フリン・ボイルを見よ)において、彼女はまだ充分面影を残している。 
 かたやチャーリーを演じているハリウッドザコシショウのような男はクラーク・ミドルトン。海外ドラマファンにはよく知られた俳優らしい。また『キル・ビル2』『シン・シティ』『バードマン』といった出演作もそれなりに見ているのだが、まったく印象に残っていない。個性的な外見をしているのに(クラークは4歳の時に患った若年性関節リウマチの影響で、手足の関節が変形し、身長も健常の男性よりもかなり低い)すごく不思議だ。

 しかし、このシーンの冗長で退屈なことと言ったら……。
 まず、ここに出てくる名前がひとりもよくわからない。ただ、話の中身から類推すると、まずビリーというのは、リチャード・ホーンに車を盗まれた若い男のことだろう。第7話で、アンディに事情を聞かれ、スパークウッド通りで待ち合わせしたのに、現れなかった若い農夫風の男。ビリーの黒いピックアップトラックは、男の子のひき逃げに使われた。
 ということは、チャックはリチャード・ホーンのことだろう。ただ、”Richard”という名前の愛称として”Chuck”と縮める習慣は英語には無い。”Chuck”という愛称は通常”Charles”に呼応する。だから、本場アメリカのファンもこの点について喧々諤々していた(赤の他人説/リチャードのミドルネームがチャールズ説、など)。ティナやポールにいたってはどんな人物か、想像することもできない。

●サウスダコタ、メイフェア・ホテル

 ダイアンがまたバーに戻ってきた。後ろで掃除機をかけている男がいる。店はもうクローズしているようだが、バーテンダーの好意で、飲ませてもらえたようだ。
 彼女はひとくちグラスに口をつけると、記憶していたルースの腕に書いてあった座標をiPhoneに打ち込む。マップが表示した場所は───ツイン・ピークス。思わず息を呑むダイアン。

●夜の森

 夜の帳も降りた森の上空を飛行する視線。フクロウの視線だろうか。

●バン・バン・バー

 本日の出演バンドはChromatics。第2話に続いて、再登場。
 曲は「Saturday」で、ミドルテンポのドリーミーなインストゥルメンタルナンバー。

 ボックスシートでは、ナタリーとアビーというアジア系の女性が、差し向かいでビールをラッパ飲みしながら話している。
 彼女たちは友人のアンジェラをここで待っている。しかし、彼女はやってこない。
 ナタリー曰く、彼女には最近クラークという恋人ができたので、そのせいかもしれない。
 しかし、アビーによれば、クラークは二日前の夜、メアリーという別の女と一緒にいたところを見た。クラークとメアリーがくっついていちゃつきながら踊っているところを目撃したらしい。
 メアリーのことはアンジェラもナタリーをいけ好かないと思っている。アンジェラはクラークに首ったけなので、彼女の耳に入れば怒り狂うだろうし、せっかく止めていたクスリにまた手を出すかもしれない、とナタリーは心配する。
 もともとアンジェラは母親をとても悲惨な死に方で失っていて、それが原因でドラッグに走ったらしい。

 ふたりがそんな話をしていると、トリックという男がナタリーの隣の席に飛び込んでくる。
 「高速道路を車で走っていたら、対向車が正面から向かってきて殺されかけたよ!」と、興奮しているトリック。
 手の震えが止まらない彼は、気分を落ち着けるためにビールを買いに行く。
 
 トリックを演じるのはスコット・コフィ。『ワイルド・アット・ハート(出演シーン削除)』、『ロスト・ハイウェイ』『Rabbits(ウェブで公開された短編)』『インランド・エンパイア』などにも出演している、リンチ組常連の男優。だが、けっして良い役は与えられたことがない。リンチにとって、使い勝手のいい俳優なのかも。
 ただ、コフィは『マルホランド・ドライブ』をきっかけにナオミ・ワッツと仲良くなり、彼女の主演作『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』をみずから監督したこともある。

 ちなみに『Rabbits』でスコットが演じたうさぎの役名が”Jack”だった。要するに”Jack Rabbit”。ボビーとブリッグス少佐が名付け親の愛称〈Jack Rabbit Palace〉と共通した要素があるのは何か意味があるのかな。

 リンチとうさぎの関係性で思い出すのは、長編デビュー作『イレイザー・ヘッド』に影響を与えた作品として挙げられる、ロマン・ポランスキー『反撥』(1964年)。
 若く美しいが、病的に内向的な女性キャロル(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、同居していた姉が恋人と旅行に出かけ、ひとりぼっちの生活を始めたところから、徐々に精神が崩壊していく……というストーリー。
 自分の留守中、キャロルに食べてもらおうと、姉が冷蔵庫へ残しておいた料理として、うさぎの丸焼きが『反撥』には出てくる。見た目もかわいらしいうさぎが、皮を剥がれ、丸焼きにされることであらわになった生々しい血や肉のイメージが、『イレイザー・ヘッド』の奇形の赤ん坊〈スパイク〉の造形にインスパイアを与えた、と指摘する人もいる。
  
 いずれにせよ、この3人の絡みがどう本編に絡むかもまったく謎のまま、第12話もおひらき。
 


 これまでの11本のエピソードは、だいたいのことをそれなりに受容することができたし、そう務めてきた。
 それに引き換え、今回のエピソードは〈ドラマの登場人物たちには謎だが、視聴者はとっくに知っていること〉を、登場人物たちが確認し、理解していく……という展開がほとんどだったので、ほんとうに最後まで見るのがきつかった。
 早送りをしそうになる瞬間を堪え、この書き起こしのために見直すことも数回。苦痛苦痛でしょうがなかった……オードリーの出演シーンなんて特に。
 あと、ぼくが特にこだわって解説することが多い音楽ネタなど、余談を膨らませる余地もほとんど無し。残念。
 18分の1だからこんな回もあるさ、と思いつつも、新シーズンは残り3分の1……。