muronoana

“2015年・春”の息吹を感じるイージーリスニング音楽(またしてもカーステ編)

今年の春はイマイチ寒かったり、雨だったり、暴風だったり。
私たちの神様はどういう意図をお持ちなんでしょうか? ほんと謎ですね。
正直、ここまでの気候はがっかりですよ。
せめて今年の後半はなんとかしてくれるのでしょうかね。
頼むよホントに!

さて、春を感じる音楽で何か良いものがないか……と探していたところ、自宅倉庫からたまたま発掘されたのが、あるイージーリスニング音楽のCD。
これを爆音で鳴らしながら運転していると、うららかな春の陽気のように軽やかな気分になって、すごくハッピーになってしまいました。

今回はこの作品を紹介してみることにしましょう。
それはイージーリスニング界の巨匠、大御所中の大御所である、フランス・マルセイユ生まれのフランク・ プゥルセル(Franck Pourcel)が率いた、フランク・ プゥルセル楽団です。

プゥルセル楽団といえば、日本でもテレビやラジオなど、多くの番組のテーマ曲で使われています。
代表的なのは「JET STREAM」のテーマ曲『ミスター・ロンリー』。
お父さんやお母さん世代、いや、おじいちゃんやおばあちゃん世代まで、かなり馴染みがあるのではないでしょうか。

彼の楽団が演奏するイージーリスニング音楽は歌などが入っていません。
リラクゼーション効果が強くて、当然、心地良いんだけど、運転していて眠くなる可能性もあります。
普通に考えると、眠くなる音楽を運転中に聞くなんて危険です。
正直、ロングドライブには向かないだろうなぁ……眠くなったら目覚ましがわりに「song2」」の入ったブラーのCDも一緒に乗せて置こう(ちょうど新作も出ることだし)……などと、保険をかけてドライブを始めたのですが、結果はまったく逆。
エキサイティング!
あまりに気分が高揚してきて、ぼくの頭がおかしくなったのかと思いました。

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まず、聴き始めてすぐに感じたのは、とにかく録音がダイナミックだと、言うこと。
簡単に説明すると───デカい音とめっちゃくちゃ小さな音が渾然一体となっていて、かつ明瞭なんですね。
楽器にはそれぞれ固有の音量があるので、全部をくっきり聴こえるように演奏・録音するのはいろんな工夫があると思います。
その結果として、距離感がめちゃくちゃになってたりするのも面白いです。
実際はかなりアブノーマルな事をやっているんじゃないでしょうか。

もうひとつ気がついたのは、同じインスト音楽でもクラシックとは違って、どの曲にもドラム&エレクトリックベースが入ってる、ということ。
エレクトリックギターやシンセサイザー、場合によっては民族楽器など、なんでもアリで入っているのもイージーリスニング音楽の特徴ですね。
壮大なオーケストラに負けることなく、ドラムがバカスカ鳴ったかと思えば、次の瞬間、一気にリムショットに変わる。
そのあいだもしっかりと細かなビートやシンバルがくっきりと聴こえていて、次のシーンではラテンパーカッションが飛び出し、やがてお馴染みのメロディが「いったい何本のバイオリンを重ねたら、こんな分厚い音が出るのだろうか?」というくらいの音圧で鳴り響いてくる。
使っている楽器の種類はどんなジャンルよりも多いでしょう。
雨や雷や波の音など、S.E.(効果音)が入ってるものもたくさんありますしね。

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取り上げている曲もジャンルを問いません。
オリジナル曲もあれば、当時流行していたポピュラー音楽を雑多に取り上げているのもイージーリスニングのスタイル。
ロックから映画音楽まで、とにかくポピュラーミュージックだったら演奏しちゃうぜ! っていう潔さにもダイナミクスを感じました。
しかも演奏の多くが跳ねている(ビートが細かくリズミカルということ。ジャズやラテンなど)のも特徴です。ダンスミュージック的でもあります。
そしてそれらをオーケストラ並みの人数の楽団が、ダビング無しの一発録りで演奏しているわけですから、それは物凄くユニークで、ある意味、異様とも思えるくらいダイナミクスを感じてしまいます。
また、それらのダイナミクスを失わずに記録するアナログ録音の素晴らしさにも感じることが多いです。

イージーリスニング楽団が全盛期を迎えていた頃、彼らの音楽が家庭用ステレオ装置の普及に一役買ったのは間違いないはずです。当時、ステレオ装置を買うと試聴用にステレオで録音されたレコードが一緒に付いてきたのですが、そういうレコードにはダイナミックなイージーリスニング音楽がぴったりだったと思います。むしろ、そのためにユニークな音楽スタイル、演奏スタイル、録音方法などが確立されたのでは……と推測しています。

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果たしてどれくらいの大きなスタジオで、どんなマイクで、どんな録り方をすればこんな壮大な音になりえるのか。
はたまたこのスタジオは今も現存するのか、録音機材は? エンジニアは? アルバム何枚リリースしてるのかな? という疑問が、次々とぼくの頭を渦巻きます。
「ジョン・ボーナムのドラムの音ってスゲーよな」とか「イーノ&ラノワの録音って広がりあるよな!」っていう気持ちと似ています。
簡単に言うとロックです。音だけでなく、その精神もロック。
イージーリスニングってロックじゃないか、と。
つまり、そういう結論に達してしまいました。

最近はラップトップミュージック(=パソコン上で制作される音楽)が主流で、大御所のアーティストでさえ、そういった音になっています。
コンプレッションによって、びっちりと音圧が持ち上げられた最近の音楽に耳慣れてしまうと、大きなスタジオの空気感とか倍音をたっぷり含んだ、芳醇なダイナミクスというのは異様なほどユニークに聞こえるのです。
つまりイージーリスニング音楽って、アナログ録音された音楽の王様かもしれません。

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結論としては……イージーリスニング音楽を車で聴くのはユニークだし、全然アリ!
みなさんにもロックを聴く感覚でそのダイナミクスを体感して欲しいです。

できれば2015年に生み出された、最新版のイージーリスニング音楽を聴いてみたい!と思ったのですが、そんなのあるのかな。
プゥルセル(余談ですが、プゥルセルって後期ポケモンキャラみたいな名前ですよね)は2000年に亡くなってますが、もし生きていたらどんな曲を取り上げて演奏するだろう?
すぐ思い浮かんだのがCOLDPLAYのあの曲。
うーん、全然面白くない(笑)。ただ弦で始まるっていうだけですね。
あとは、PHOENIXの曲とか、あるいはファレルの「HAPPY」とか、DAFTPUNKの曲とか……だったら面白そうだ!

KazariLine

室見川レコードがオススメするドライブにピッタリの穴CD

franck

FRANK POURCEL / DANCING IN THE SUN / AND NOW…(2CD)
イージーリスニング界の巨匠、フランク・プリュセルの1970年の作品「DANCING IN THE SUN」と当時(1998年)の最新作「AND NOW」のカップリングCD。春のフィーリングにぴったりのイージーリスニング・アルバムです。2枚組のCD。マスタリングはABBY ROADスタジオ。フランク・プリュセルはコンコルドの曲が有名です。是非いろいろ聴いてみてください。*これは2枚組のCDです。ご注意ください。

ricardo

RICARDO SANTOS AND HIS ORCHESTRA リカルド・サントス / HOLIDAY IN JAPAN (CD)
タンゴの名門リカルド・サントスが日本古来の名曲、民謡を演奏したホリデイ・シリーズ。「お江戸日本橋」「浜辺の歌」など実に味わい深い1枚。1998年の初CD化。廃盤です。全16曲。外国人からみた日本。アレンジの良さが光ります。ほんわかした気分になります。和みます。*これはCDです!ご注意ください。

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Goro Nagase

昭和47年生まれ福岡県久留米市出身。インスタント・シトロンでアルバム6枚、アニメ・サントラ2枚を発表。現在は福岡に拠点を移し、「美女ジャケ」などユニークなジャンルのWEBショップ「室見川レコード」のオーナー。2014年に楽曲制作チーム「C.I.T.Y」にて音楽活動再開。MI6に楽曲提供。
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