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第二回 THE スバル

僕には縁もゆかりもない町、群馬県太田市。でも細かく言うと少々の縁がありまして、初めてのマイカーがスバル360っていう排気量わずか360ccのスモールカーだったのです。
当時でも既に30年オーバーの立派な型落ち車に乗りたいだなんて息子の無茶な企みに当然ながら親は大反対。最終的には「新車買うなら買ってやる。それ買うなら自分で買え。」という、貧乏ヤングマンにはあまりにも辛すぎる決断を迫られて手に入れた思い出があります。
今思えば、新車買ってもらって1、2年乗って下取りに出してスバル360買う手もあったのにな……とは思うけれども、車雑誌の個人売買欄で見つけた県内の売主の元に出かけて実車を目にしてしまった僕には今すぐ乗りたい!!っていう情熱を抑えることが出来ませんでした。

夢のマイカーに乗り始めてしばらく経った頃に聞いた怪しいうわさ話。「スバルの聖地にスバルのお菓子を作っている和菓子屋さんがあるらしい……」今ならすぐ検索→ってのが当たり前だけれども、何しろYahoo!もGoogleも一般的じゃない時代。旧車の専門誌にもさすがにお菓子のことまでは載ってなくて、その頃の僕はなんとなく嘘だな? と思ってました。
でももし実在するなら、それはスバリスト垂涎の逸品。本当なら食べてみたいなぁ、とは思っていたけれども、旧車のことなんて何も知らなかった僕にはだんだん車両の維持が困難になり、その真相を明らかにする前に泣く泣く車両を手放すことに……。それ以降、スバルのことは切なくなるからあまり考えないようにしていたのでそのことはすっかり忘れてました。

あれから十数年。こないだ弊所に遊びに来た友だちが真面目なお詫びにでも持参しそうな随分とデラックスな菓子折りを僕に。以前、何かの話でその友だちの実家が群馬県太田市なのを知って「スバルの聖地だね」とか僕が放った何気ない1フレーズを覚えていてくれたようで、実家の親御さんがわざわざお店に出かけて買って送ってくださったそうです。
まさかこんな形でいつかの夢の銘菓にお目にかかれるなんて思ってなかったので心の準備もなくて本当にビックリ。受け取った菓子折りは何とも言えない配色の包み紙に絶妙なフォント。そして、キャッチーなスバル360のイラストを使わず、あえて少し前の型のレガシィB4を起用する捻くれ具合に百瀬イズムを感じました。注:百瀬晋六(スバル360のお父さん)

thesubaru

中にはスバル360の型で作った「サブロク焼」という饅頭と、前出のレガシィB4の型で作った「スバル最中」、そしてパッケージはステーションワゴンなのに中身はなぜかセダンの焼印が押された(湾曲してない)瓦せんべい「THE スバル」が入ってました。
特に気になったのが「THE スバル」。ネーミングも並外れてますけれども、「瓦せんべい風味」という表記も、ある一定の線引きがされてて最高に好みです。手にしようとしている誰かに中身のイメージを伝えながら、でもそれとは違いますからね? というお断わりも挟み込む加減。

こんなに素敵なせんべい、僕らの自販機からもポロッと出てきて欲しいです。欲を言えば、自販機ならではの少々乱暴な扱いのせいでせんべいが真っ二つに割れてたりしたらさらに嬉しいです。

Suzunone Jun

Suzunone Jun

東洋のナポリ・鹿児島生まれ。同地でエスプレッソやコーヒーの抽出活動を行う鈴の音抽出所の所員。
http://instagram.com/suzunone_jun/
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