大都市から地方への移住は、五年前に発生した大震災以降、新しい意味を持つようになりました。
また、人だけでなく、お金やモノ、情報の流れ方も、ドラスティックに変化し続けています。
いずれにせよ、こちらへ移住する人も、あちらにとどまる人も、さまざまな事情や思いを持っていることだけはまちがいないでしょう。

ぼく自身も松山での生活はまる三年が経ち、今年5月で四年目を迎えます。
生活のあり方や仕事のスタンスを見なおしたり、ちょっとずつ緩んできたネジを締めなおすべき時期が来たのかな、なんて最近よく考えています。

また移住(Uターン)当初は「どうして?」と理由を訊かれることが多かったけれど、最近は「どうやって?」と訊ねられることが増えたことに、さらなるムードの変化を感じたりしていました。
そんな折、移住や新しいローカルライフの形を紹介しているウェブマガジン『雛形』編集部の菅原さんから連絡をいただきました。
写真家の阿部健さんが近い将来に地方への移住を検討していて、<移住先さがし>という視点で松山を歩きたいという企画を提案され、ぼくにそのコーディネーターというか、案内役を頼みたいというお話でした。

オーダーは観光目線ではなく、生活者目線で触れる、松山の人々や場所。
ぼくは自分が暮らしてきた三年という月日をふりかえりながらイメージを膨らませ、ピックアップしていきました。
そして事前のアポイントメントは必要最小限度。
そのほうが偶然の出会いを呼びこむことができると思ったのです(実際にそうなりました)。

取材先で阿部さんはメモを取ることもありませんでした(少なくともぼくの見ている前では)。
おまけに、彼はいまどきめずらしく銀塩フィルムのカメラで撮影にのぞんでいたため、どういう視点でファインダーを覗き、町を切り取っているのか、その場で確認することは一切できません。
案内人という立場で、彼らふたりと一日ちょっと過ごしたけれど、この連載をみなさんと同じ<いち読者>という目線で読ませてもらいました。写真とそこに添えられた文章は、阿部さんの人柄が伝わるあたたかなもので、松山という町のムードにとてもマッチしている、と感じました。

全三回の連載記事になっています。ぜひご一読ください。


hinagata
 

 

ウェブマガジン『雛形』 生活を巡る、松山紀行

第一回:ふたたび松山へ
第二回:はじまりはいつも大街道
最終回:伊丹十三の姿を追いかけて