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 毎回あんまり長い文章ばっかり書いてると、せっかくの企画が息切れしそうなので、もう少し短く、気軽に書いてみよう。
 ぼくも関わらせてもらった『マチボン』(SPC出版)が発売されたことだし、こっちも喫茶店特集で。せっかくだから、マチボンに未掲載店の中から「棚からひとつかみ」形式で行ってみたいと思う。とはいえ、テーマが多少はあった方がまとめやすいので、今回はぼくの大好きな「オン・ザ・ストリート・コーナー〜角っこにある店」で棚からひとつかみすることに。
 好きなんですよね、交差点や露地に面した角っこのお店。できれば路面店がいい。業種はクリーニング屋、タバコ屋、本屋あたりも悪くないけど、やはり喫茶店に尽きる。

shimashima

Amour
 
 最初に紹介したいお店が「アムール」。ここは純喫茶というよりも食事がメインのカフェレストランだ。場所は花園通りにある。花園通りというのは松山城のふもとにある堀之内公園の南側……いわゆる南堀端から松山市駅までをつなぐ、直線500m足らずの商店街。つい最近、東側だけアーケードが撤去された。この撤去作業がかなり唐突だったから、アーケードが無くなったことに気がついてない人さえ、ぼくのまわりにけっこういた。「アムール」が入っているビルも一階と二階のあいだに屋根がくっついていたのだが、撤去されたことで毛を刈られた綿羊みたいになっている。そのかわり陽当りがすばらしく良くなった。

ライスにフィッシュフライとコンソメスープもついて680円。
ライスにフィッシュフライとコンソメスープもついて680円。

 ぼくの考える理想の<角っこにあるお店>は、できればコーナーの直角部分に入口が付いていて、両側とも窓になっていてほしい。
 そして窓際の席はアメリカのダイナーみたく、ボックスシートになってるのがいい。残念ながらそういう造りの店はあまり多くない。シートになっているのは片側の窓際だけで、それも区切りがついていない四人がけのシートっていうパターンがいちばん多い。
 ここですこし話は逸れるが、明らかに店の中でいちばん落ち着きそうな四人がけや六人がけのシートを「予約席」の札で押さえていることがある。店側の都合もあるだろうし、ほんとに予約が入ってるケースもたまにはあるかもしれない(ただ『五時に予約してたスギヤマです』なんてシーンには今まで出くわしたことないけど)。
 その反対にひとりでふらりと入ったら店内はガラガラ、座席は選び放題。でもなんとなく遠慮して二人がけのシートに座ろうとすると「そこは狭いからこっちへ」と、気持ちよく四人がけも座らせてくれる店。続けて三回は通っちゃうな。

───うーん、どんな切り口でも結局、余談が過ぎる(笑)。
 話を戻すと「アムール」はひき肉系の料理がオススメだ。表面を焼き固めない柔らかめのハンバーグ。500gのビッグサイズもある。見た感じは煮込んだキャッチャーミットみたい。ぼくはどっちかというとしっかり焦げ目のついたタイプを好むけれど、こないだ食べた日替わりセットにミートローフがついていて、これはハンバーグよりこの店の焼き方に合っていた。断然こっちのほうが好きだったが、グランドメニューには載っていないかもしれない。

 さて、この「アムール」の窓際にはぼくの理想とするボックスシートがある。アーケード撤去からもっとも恩恵を受けたのが、このたった二席しか無い「アムール」のボックスシート。特にこの季節、あたたかな陽光が差し込む晴れた日にここへ座って、通りを行く人や車をときどき眺めながら食事をするのはたまらなく幸せな気分だろう。ただし快適になりすぎて競争率が高くなった気がする。実際、上の写真を撮ってるあいだに入店した二人組のサラリーマン(ちょうど入口のところに写っている)に先を越されてしまった。『ほんとはそこ、俺の席だったのに!』と、彼らに恨めしげな視線を送りつつ、ちょっぴり不幸せなぼくは食後のコーヒーを注文するのだった。

 
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アムール
住所:愛媛県松山市花園町6-1
電話:089-932-3459
営業時間:AM8:00~PM9:30
定休日:日曜日

愛媛県松山市花園町6-1