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忘れもしません、今から23年前の1992年1月18日(土) 、当時高校3年生だった僕は熊本大学でセンター試験を受けました。試験が終わった夕方から悪友2人と一緒に、老舗古着屋(に今ではなっていますが、当時はオープンしたばかりの)ペニーズのセール初日に向かいました。2日目の試験がまだ残っているにも関わらず。

ADIDAS CAMPUS 80’S DEF JAM 2010年にリリースされたDEF JAMとのコラボモデル。NYニックス・カラーを落とし込んであり、通称BEASTIE BOYSモデルと呼ばれました。国内未発売。
ADIDAS CAMPUS 80’S DEF JAM
2010年にリリースされたDEF JAMとのコラボモデル。NYニックス・カラーを落とし込んであり、通称BEASTIE BOYSモデルと呼ばれました。国内未発売。
狙っていたのはスニーカー。コンバースのオールスターの70年代のデッドストック、通称「チャック・テイラー」で、星ひとつの黒いヒールパッチもバッチリ残っている極美品。もうひとつ欲しかったのがADIDASのキャンパスのフランス製オリジナルのサックスブルー。こちらもデッドストックで、どちらも11800円の30% オフ。迷いに迷いましたが、結局そちらのほうが古いからという理由で(キャンパスは80年代前半)、僕がチャック・テイラーのグリーンを、友人が同じくオレンジを買いました。この3ヶ月後の4月21日にリリースされるBEASTIE BOYSのサードCHECK YOUR HEADのジャケットでメンバーがこのADIDASキャンパスを履くことを、18歳の井手青年は知る由もなかったのです。

その頃の僕はギターロック一辺倒で、ヒップホップは聴いていませんでした。何とか無事合格した大学の一年生の夏休みにバイトした古着屋で、スケーターの先輩が毎日CHECK YOUR HEADを流していました。それで夏休みが終わる頃には僕も大ファンになりました。そして、あの1月のセールでキャンパスではなく、チャックテイラーを買った自分を呪いました。それ以来、心のスニーカー第一位はずっとキャンパスです。

GRAND ROYAL MAGAZINE 2号から6号まで。当時はネットもなく田舎で手に入れるのはなかなか大変でした。ブルース・リー表紙の1号は今も持っていません。
GRAND ROYAL MAGAZINE
2号から6号まで。当時はネットもなく田舎で手に入れるのはなかなか大変でした。ブルース・リー表紙の1号は今も持っていません。
ちなみにその数年後にキャンパスのフランス製を手に入れるのですが、そのまた数年後に手放すことになります。またそのセールの時に購入したチャック・テイラーはボロボロになるまで履いていたにも関わらず、数万円で売れPEANUTS RECORDSのピンチを救うことになります。しかしこれは別の物語、いつかまた、別のときに話すことにしましょう。

CHECK YOUR HEAD期のビースティーズのファッションといえば前述のキャンパスやPUMAのクライドなどのスニーカーがとにかく印象的でした。他にはベン・デイビスのワークパンツ、チャンピオンのスウェットパーカー、カーハートのジャケットなどアメカジの定番ばかりでしたが、サイズを2つくらいあげていました。デカく着ているのにも関わらず、逆にスマートに見えるのがとても新鮮で、当然僕らもパクりました。

GRAND ROYALのジャケット 20年ほど前に買いました。年に1度着るか着ないかですが、これだけはいまだに手放せないでいます。
GRAND ROYALのジャケット
20年ほど前に買いました。年に1度着るか着ないかですが、これだけはいまだに手放せないでいます。
それはファッションに限らずビースティーズに関わる全てについて言えることで、目線や切り口を変えることの大切さを僕らは知らず知らずのうちに学びました。ジャズでもパンクでもブルース・リーでもMOOGでもADIDASでもマレットヘッドでも、ステキなものはステキだと無邪気に笑える、佐野元春的スキル。NOISE ADDICTやLUSCISOU JACKSONやBUFFALO DAUGHTERなどのミュージシャンに限らずジェフ・マクフェトリッジやマイク・ミルズなど仲間をフックアップする無償の愛。そしてユーモア。

A BATHING APE(結局僕は一度も着たことありませんが)も、トラットリア・レーベルも、雑誌のリラックスもBEASTIE BOYSとGRAND ROYALに多大な影響を受けているのは明らかで、CHECK YOU HEADとILL COMMUNICATIONがなければ、90年代後半の日本のポップカルチャーはきっと全く違うものだったでしょう。

もちろん僕も多大過ぎる影響を受けています。うちの店の売り上げから言って成功しているとは言い難いですが、レコードのコメントを書く時には新しい切り口をどこかに入れる、というのはいつも頭の片隅にあります。相変わらずフックアップするよりされる側ですが、イベントごとなどはできるだけ好きな人たちに声をかけるようにしています。そういうのは身にしみついています。

GRAND ROYALはJIMMY EAT WORLDのアルバムBLEED AMERICAN(カタログナンバー99)を最後に残念ながら閉鎖してしまいましたが、PEANUTS RECORDSはカタログナンバーGR100を無許可でもらっています。ハシエンダのカタログナンバーFAC51的な感じで。

スチャダラパーと同じく不動の神3と思っていたBEASTIE BOYSの3人が揃った姿を見ることはもうできません。やるせない気持ちでいっぱいです。

getittoghether
BEASTIE BOYS / GET IT TOGETHER [10″]
SABOTAGEも収録のお得盤!

chchcheckiout
BEASTIE BOYS / CH-CHECK IT OUT [12″] SOLD OUT!
チェチェチェチェチェチェチェキラウ!

ana

*ピーナッツ・レコードの穴VOL.6で紹介したレコードは全て特別価格で提供しておりますので、この機会に是非ご注文ください。いつ通常価格に戻るかは僕にもレコードにもわかりませんので、あらかじめご了承ください。

Keigo Ide

Keigo Ide

昭和48年6月27日、熊本生まれ熊本育ちのO型。
中古レコード店"PEANUTS RECORDS"オーナー。いろいろな音楽が好きですが、最近は一回りしてまたギターポップばかり聴いています。子煩悩。スニーカー好き。
Keigo Ide