bepeanuts

日本でのレコードの売り上げのピークは1996、7年頃だったと言われ、現在はまたレコードブームだなんて言われています(正直、その恩恵を受けている感はまだありませんが、それはまた別の話として……)。その二つのレコードブームのちょうど中間地点=ゼロ年代半ばに、もうひとつのレコードバブルがあったことをみなさんご存知でしょうか?

PEANUTS RECORDSがオープンした2003年3月から、数か月たったある日。半袖Tシャツの袖から手首まで、びっしりとタトゥーの入ったイカつい若者二人組がやってきました。美容師と古着屋の二人組で、信じられない量のレコードを買ってくれただけでなく(この日の店頭売り上げ記録はまだ破られていません)、次の日から彼らが紹介してくれた若者が続々と店にやってきました。

古着屋で働く若者やそこのお客さんを中心に、大学生から高校生まで。彼らが求めたのは、ビッグビートやミクスチャーロックのレコードで、口々に「これオージー・ネタの」などとつぶやいていました。よくよく話しを聞いてみると、長崎にロックをミックスするOGというDJがいて、その人のミックスCDが古着屋界隈で爆発的なヒットを記録している、とのこと。うちに足を運んでくれるようになったのは、DJ OGに影響を受けてDJをはじめた若者たちだったのです。

KazariLine

最初は僕が勧めるレコードには全然見向きもしませんでしたが、彼らが欲しい音は、あまりBPMが早くなくてヒップホップ・ビートが入っているような、ミックスしやすいロック……と理解してからは、ぼくからもレコードを紹介するようになりました。徐々に自分たちの知らない曲でも、その路線にハマれば購入してくれるようになり、「おすすめ教えてください」と言ってくれるようになりました。あっという間に店頭のビッグビートは消えてしまい、東京のゴロゴロコミック氏にお願いして、レコードを調達してもらいました。とりあえずFATBOY SLIMとSKINTの12インチ。あとCHEMCAL BROTHERS。本人のレコードだけでなく、CHEMCAL BROTHERSがリミックスしたものなら何でもいい、300円以下だったら全部買っといて……とお願いしました。ピーク時には、ダンボールが到着したらプライスカードを付ける間もなく、争うように買ってくれるようになっていました。いまの仕入れの厳しさを考えると、なんと牧歌的な時代だったことでしょうか。

そのロックミックス系を象徴するレコードのひとつがHURRICANE #1のセカンドアルバム、ONLY THE STRONGEST WILL SURVIVEのLPでした。タイトル曲が泣きメロとマシンビートをミックスした、明け方にフロアが湧きそうな名曲で、DJ OGのミックスCDにも収録されていたらしく、WANTも凄まじいものがありました。ある日、今は亡き久留米の老舗レコード屋(奇しくも店名はBIG BEAT!!)で、デッドストック(といっても当時リリースから5年ほどしか経っていないのですが)で発見して7枚購入。7,800円という強気の値付けをしましたが、二週間も立たずに全て売り切れました。僕らの世代にはHURRICANE #1は、主要メンバーのアンディー・ベルのいたRIDEと比べれば評価は低いものでしたが、全く違う切り口で評価されるようになり、これがインディーRARE GROOVEか、と驚きました。


Hurricane#1 – Only The Strongest Will Survive

KazariLine

オープン当初、何とか軌道に乗れたのは彼らのおかげもありました。しかし、バブルというのはいつか弾けるもの。少しずつ来店数が減り、2007年に現在の店舗へ移転するころには、たくさんいたロックミックス系のDJは誰ひとり来店しなくなりました。見た目のイカつさと反比例して、ロックミックスDJは上下関係が厳しかったのか、礼儀正しい子が多く、楽しく世間話もするようになっていたので、さみしさもありました。まあ、でも、音楽やレコードなんて生きていくうえで必要ないものだし、ましてやインディー・ミュージックなんて通過点だから仕方ない、と思うようにしました。インディー・キッズからスタートして、テクノ、ジャズなど違うジャンルにのめり込んだ友人もたくさん見てきていましたし。奥田民夫の言葉を借りれば「そればっかりはやってられないよ/君たちも大人になりな」といった感じでしょうか。

そういうお客さんの移り変わりを見てきて思うことは、お店ってちょっと恋愛と似ているところがあります。お客さんに対しては基本、片思いの状態。両思いになった人だけ、お店に足を運んでくるれんだ、と考えるようになりました。来なくなったお客さんのことを時々思い出すこともあるけれど、今、足を運んでくれるお客さんのほうを大事にしなきゃならないのはわかっています。

珍しく感傷的になっているのは、明日3月7日でオープン12周年を迎えるからです。最後に宣伝をして恐縮なんですが、今、両思いでいてくれるお客さんのために、3月7日(土)&8日(日)の二日間、12周年記念セールを行います。ウェブショップ、実店舗ともに20%オフ。加えて5,000円以上のお買いもので7インチ・トートのプレゼントもあります。コチラのブログをよく読まれてご利用ください。

そういえば、ちょうど一週間後には片想い中のカミさんとの結婚記念日も控えています。どちらも毎年記念日が迎えられれば、もうこれ以上の幸せはないのかな、と思います。

KazariLine

cornerana

CORNERSHOP / BRIMFUL OF ASHA ‘NORMAN COOK’ REMIX [12″]
ノーマン・クックREMIX!! 当時は2,800円で何十枚も売れました……。

bodyana

BEASTIE BOYS / BODY MOVIN’ [12″] SOLD OUT!!
FATBOY SLIM REMIX!! 当時は2,800円で何十枚も売れました……。

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*ピーナッツ・レコードの穴 VOL.4で紹介したレコードは全て特別価格で提供しておりますので、この機会に是非ご注文ください。いつ通常価格に戻るかは僕にもレコードにもわかりませんので、あらかじめご了承ください。

Keigo Ide

Keigo Ide

昭和48年6月27日、熊本生まれ熊本育ちのO型。
中古レコード店"PEANUTS RECORDS"オーナー。いろいろな音楽が好きですが、最近は一回りしてまたギターポップばかり聴いています。子煩悩。スニーカー好き。
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