bepeanuts
 

こんにちは。「風邪薬はやりましたけど……」そのほかは「ダメ。ゼッタイ。」と、クリーンなことでおなじみのPEANUTS RECORDS井手です。でもドラッギーな音楽は聴くのも売るのも大好きで、インディーロック好きとしてはやはりSPACEMEN 3関連をプッシュせずにはおれません。

僕がSPACEMEN 3を知ったのは92年、まだ10代の頃。前回のVOL.11で書いたSTONE ROSESと所属レーベルのSILVERTONE RECORDSが訴訟騒ぎを起こし、次作をリリースすることができないので、レーベル側が替わりにプッシュしたのがソニック・ブーム率いるSPECTRUMでした。
 

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当時リリースされたばかりのファーストアルバムSOUL KISSの国内盤の解説はこのあたりのサイケデリックロックにめっぽう強い杉田元一氏でした。その解説には、ソニック・ブームはSPACEMEN 3というバンドに在籍していて、現SPIRITUALIZEDのジェイソン・ピアースと仲違いして、バンドが解散した。など、とても詳細に書いてありました。現在ではSPIRITUALIZEDはライブが高評価され国内フェスの人気バンドとなり、ソニック・ブームは若者に人気のファッションブランドLAD MUSICIANとコラボしたりカルト的な人気を誇ります。それにともないSPACEMEN 3も伝説的なバンドとして語られますが、当時は全く情報がなかったので、この杉田氏による解説は非常に有難かったです。
 


SPECTRUM “HOW YOU SATISFY ME”
 

SOUL KISSの1曲目HOW YOU SATISFY MEはJESUS & MARY CHAINみたいな轟音サウンドでめちゃくちゃかっこよかったけど、それ以降の曲は穏やかに反復を繰り返すだけの煮え切らないアンビエントみたいで、正直最初はピンときませんでした。それまでにそんな音楽聴いたことがなかったし、ドローンという言葉さえ知らなかったのだから無理もありません。でも繰り返し聴いているとだんだん気持ちよくなり、どんどんはまっていきました。

時を同じくして、ひょんなことからTV BROSの存在を知り、購読するようになるのですが(もう20年以上購読しているので、全く成長がないですね)、同誌の音楽コーナーにも杉田元一氏がコラムやディスクレビューを書いていて、ちょくちょくこの周辺の音楽を紹介していました。(大学生活を送っていた)福岡では手に入らないものも多かったけど、杉田氏が現地でも完売状態と紹介していた、SPIRITUALIZEDのセカンドPURE PHASEの初回限定蓄光ケースのCDをジャングルエキゾチカで手に入れ興奮したのは鮮明に覚えています。この周辺はジャケやパッケージにも凝っていて、ジャケットについた円盤がぐるぐる回るLP、ジェル液が入ったジャケット、薬箱仕様のCDケース、などいろいろあるので、またいつか詳しくご紹介できればと思います。

TV BROSでは電気グルーヴの石野卓球も連載でテクノのレコードを紹介していて、時々ソニック・ブームのことも書いていました。ソニック・ブームには必ず「キメた回数2万回」と枕詞を付けていて、後にそのフレーズは僕にパクられることになります。また「(杉田)元一にはダマされるな。ソニック・ブームはSPECTRUMよりEARだろう」とも書いていて、卓球氏は別ユニットのEARことEXPERIMENTAL AUDIO RESEARCHがお気に入りだったようです。EARは、名は体を表すというか、SPECTRUMよりさらにディープなドローンサウンドでした。実家で爆音で聴くと、「この子大丈夫かしら?」と親から心配されそうで、バレないように専らヘッドフォンで聴いていました。SPACEMEN 3のオフィシャルブート盤のタイトルTAKING DRUGS TO MAKE MUSIC TO TAKE DRUGS TOを地で行くような超ドラッギーなサウンドに、僕もいつしか中毒になってしまいます。90年代後半にはソニック・ブームの創作意欲もピークで「月刊EXILE」もとい「月刊ソニック・ブーム」並みにほぼ毎月なにかしらのリリースがあり、売人からキツイ取り立てを受けるかのように財布の中身は空っぽに。そしてどんどんレコードやCDが増えていきました。

またコーネリアス小山田圭吾もTV BROSの連載で、「海外ツアーでソニック・ブームに会ったんだけど、超テクノカットだった」と、前述のアルバムSOUL KISSのジャケットと同じようにもみあげが全くなかったことを報告していました。そんな90年代を代表する、おもしろいコト紹介業の人たちからリスペクトを集めるソニック・ブームのことは、裏渋谷系と呼んでもいいのではないか、と思っています。というまとめは流石に強引過ぎますかね?


ところで話しは変わりますが、5月28日(土)開催される阿蘇ロックフェステイバル2016には電気グルーヴと、90’S TV BROSおもしろいコト紹介業御三家の一角でもあるスチャダラパー(僕のSDP愛は本連載VOL.3を参照に)も出演します。僕もフジやサマソニなどいろいろなフェスに遊びにいきましたが、阿蘇ロックはそれらにも引けを取らない素晴らしいフェスです。自然に囲まれた会場の熊本県野外劇場アスペクタはとても気持ちがよく、また傾斜があるので、後方からでもステージがよく見えます。その二組以外もかなりよいメンツなので、熊本はもちろん、県外からも是非足を運ばれてみてください。遠方から来られるなら、せっかくなので一泊して、翌29日(日)にPEANUTS RECORDSにご来店されるのをおすすめいたします。
 

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阿蘇ロックフェスティバル 2016
2016年5月28日(土)@熊本県野外劇場アスペクタ

OPEN 9:30 / START 11:30 / END 20:00(予定)
<出演者>
泉谷しげる with バンド / ウルフルズ / サンボマスター / スチャダラパー / 電気グルーヴ / でんぱ組.inc / レキシ / WANIMA

http://aso-rockfes.com/


 

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SPACEMEN 3 / PLAYING WITH FIRE [LP]
傑作サード!レアなUKオリジナル盤!
 

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SHALLOW / I WONDER [7″]
ソニック・ブームがリミックスしたドリーム・ポップ!

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*ピーナッツ・レコードの穴 VOL.12で紹介したレコードは全て特別価格で提供しておりますので、この機会に是非ご注文ください。いつ通常価格に戻るかは僕にもレコードにもわかりませんので、あらかじめご了承ください。

Keigo Ide

Keigo Ide

昭和48年6月27日、熊本生まれ熊本育ちのO型。
中古レコード店"PEANUTS RECORDS"オーナー。いろいろな音楽が好きですが、最近は一回りしてまたギターポップばかり聴いています。子煩悩。スニーカー好き。
Keigo Ide