bepeanuts

はじめまして。熊本で「ピーナッツ・レコード」という中古レコードショップを営んでいます井手と申します。今度の春でオープンして12年になりますが、ずっと地面スレスレの低空飛行を続けております。この度ミズモトさんにお誘いいただきこちらの「ピーナッツ・レコードの穴」で連載をすることになりました。よろしくどうぞお付き合いください。

もう10年くらい前の話し。オークションで古いスニーカーを物色している時に出品者が、「いつ加水分解するかは、僕にもナイキにもわかりません」とコメントを載せているのを発見して、PCの画面を見ながら声を上げて爆笑し、それからちょいちょい話のネタに使っています。

同じように、中古レコードがいつ売れるかは僕にもレコードにもわからないわけで、これ最高だからすぐ売れるだろ、ってのがどんどん値下げしても売れ残ったり、逆に内容はよいけど地味だからなかなか動かないだろうな、と思ってたのが、アップ後数時間で売れたりします。
まあすぐに売れるのがわかる商才が僕にあれば、お店ももっと儲けているんですが、というのは置いておいて、こちらでは自分では大好きなのに、ずっと店頭に残っている不憫なレコードにスポットライトを当てていこうと思っています。

KazariLine

12月の頭にFBを何気なく眺めていると「Tシャツやバッグなどあたらしいグッズができたよ」というThe Pastelsからの投稿がありました。

The PastelsはTeenage FanclubやBelle & Sebastianを輩出した音楽都市グラスゴーの重鎮的なバンドで、活動歴は30年を越えます。

重鎮と言ってもお世辞にもセールス面で成功しているとはいえず、いままでの作品を全て合わせてもAKB48のシングル1枚の売り上げに敵わないのではないでしょうか。

そんな風だから音楽だけで食っていけるはずもなく、メンバーのステファンは今もMonorail Musicというレコードショップで働きつつ、寡作ながら質の高い音楽を作り続けています。

彼らの音楽が好きなのはもちろん、DIYやインディー・スピリットについても多くを学ばせてもらったので、恩返しの意味も込め早速Tシャツなどのグッズをオーダーしてみました。

しかし早くオーダーしないと売り切れちゃうと慌ててしまい、本当はトートバッグの赤が欲しかったのを、間違って青をオーダーしてしまいました。可能なら交換してください、ってメールをしたら、なんとステファンと並ぶ主要メンバーのカトリーナ嬢本人から返信がきました。彼ら真性インディー・スタイルなんだから自分たちで発送やメール対応をやっているのも当然ちゃ当然なんだけど、やっぱり憧れの人だからめちゃくちゃ緊張してしまいました。

何度かメールのやりとりをし、98年の大阪のライブ行ってあなたにサインもらってずっと店に飾ってるよ、再来日期待してます。って送ったら「来年そちらに行くと思うよ」と返信が届きました。ステファンは極度の飛行機嫌いらしいから、実現するかどうかは怪しいけれど、17年ぶりの来日信じて待とうと思います。結局トートバッグの赤色は売り切れていて、届いたのは青でしたが、The Pastelsのことますます好きになりました。

KazariLine

と、前置きが長くなりましたが、今回紹介するのはそのThe Pastelsのカトリーナがゲストで参加したKid Locoの”Love Me Sweet”という楽曲。

Kid Locoといえばフランスの老舗レーベルYellow Productionからデビューし、スタイリッシュなブレイクビーツ職人というイメージがあるので、この組み合わせは最初意外に感じました。

しかし、Stereolabの来日公演のオープニングアクトとして観た彼のDJがPrimal Scream、マイブラ、Stone Rosesなどまるで日本のロック系クラブDJのようなプレイだったことや、元々彼はパンク・バンド出身らしいということなど、彼のインディーキッズな側面を知り、フォーキーなブレイクビーツに彼女の可愛らしいボーカルがマッチしたこの曲が大好きになりました。

きっとあまり難しいことを考えずに、若い頃に好きだったカトリーナに歌って欲しかっただけなんだろうし、そこがこの曲の素敵なところだと思います。

loco1

KID LOCO / GRAND LOVE STORY [2LP] SOLD OUT!!
“Love Me Sweet”収録のファーストアルバム。フレンチヘッズ・クラシック”RELAXIN’ WITH CHERRY”もおすすめ!

loco2

KID LOCO / LOVE ME SWEET [12″]
こちらはエロジャケも人気の12インチ。ジム・オルークによるリミックスも収録。

border-gray

他にもピーナッツ・レコードの穴からオススメの関連盤

ana

Keigo Ide

Keigo Ide

昭和48年6月27日、熊本生まれ熊本育ちのO型。
中古レコード店"PEANUTS RECORDS"オーナー。いろいろな音楽が好きですが、最近は一回りしてまたギターポップばかり聴いています。子煩悩。スニーカー好き。
Keigo Ide