barf1997oct
 

どうして男の子たちは幼児化するのか?
<ポケモン>からコーネリアスまで、”ボク”たちの好きな”キャワユイ”ものの秘密
Barfout 1997 October Vol.26

 

 流行と消費の相関関係の中で、ルーズソックスやキティちゃん、そしてたまごっちと、女の子のカワイイ嗜好には次々と新しい受け皿が用意される一方で、市場のメインターゲットから男の子がはじき出されてずいぶん経つ。でも、ここ最近ようやく男の子中心で、なおかつ社会全体を巻き込みそうな新しいいうねりがあちこちで始まっているのに気づいてる?
 その筆頭は、男の子の収集魂に火をつけたアクションフィギュアやトレーディングカード、また今年に入って<ポケモン>こと任天堂ゲームボーイのソフト『ポケットモンスター』が、ゲームに登場するモンスターの様々なキャラクターグッズと共に大ブレーク。151匹というキャラ数の豊富さに加え、戦わせて育てるというゲーム自体は、たまごっちに通じるところあれど、育てたモンスターを友達同士で交換できるシステムが、男の子誰しもの心の内に潜む<友情・努力・勝利>のジャンプイズムにヒットした。それも三原則+キャワユイの代名詞だった『ドラゴンボール』終了以降、部数を落としている本家本元「少年ジャンプ」のようにクサくならず、徹底的に”キャワユサ”を貫いている。
 余談だけど、圧倒的に男の子客がメインのボクのレコード店(マニュアル・オブ・エラーズ)で今いちばん売れているのも、レイモンド・スコットの『Soothing Sounds for Baby』という赤ちゃんのための”キャワユイ”電子音楽集。他にも元祖ドゥーピーズ<チップマンクス>をはじめ、サウンド/ジャケット共にキャワユイ要素が含まれたアイテムは常に人気。
 また、小山田(圭吾)君のアルバム(『ファンタズマ』)全体に漂うディズニー感+プラモデルっぽいサンプリング、3D音響みたいなギミックも、少年雑誌の付録のようなかっこよさとキャワユサをふと思い出させたりしませんか? もう誰も彼もみんな完全に童心に戻っちゃってますよ。実際、小山田君は「五歳児の頃の自分を想像しながら作った」と今回のアルバムに関していろんなところで語ってますが、こうした男の子のキャワユイ感の秘密も、その”幼児化”的気分にある。
 明らかに女の子パワー主導の今、男の子がかろうじて持った最後のリーサル・ウェポン───それが”幼児性”なのだ。女の子の持つ”母性”を突くことで、してやられてばかりだった男の子が、なんとかもう一度復権するための風穴を開ける禁じ手、それがぼくら男の子たちがいま支持する”キャワユイ感”なのだ。バブル以降のメンズ雑誌の、いわゆる<男らしさ=モテ>の価値観に縛られて、それに代わる新しいスタイル(例えば女の子にとっての”ガーリー”みたいな)を生み出せなかった男の子達の進撃が、今後ますますいろんなジャンルで登場してくるはず。要、注目。