今年の二十枚、そしてその他。2017年版。

今年の二十枚。(順不同)

Zooey / The Drifters
Flo Morrissey & Matthew E. White / Gentlewoman, Ruby Man
Thundercat / Drunk
Drake / More Life
Nicholas Krgovich / In an Open Field
Kendrick Lamar / DAMN.
FKJ / French Kiwi Juice
Toro y Moi / Boo Boo
Tyler, The Creator / Flower Boy
Work Drugs / Flaunt the Imperfection
Ducktails / Jersey Devil
Cut Copy / Haiku From Zero
Joe Hertz / Night / Daze
Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly & James McAlister / Planetarium
Baths / Romaplasm
Peter Broderick / All Together Again
Marker Starling / Anchors and Ampersands
Témé Tan / Témé Tan
Moonchild / Voyager
Mr Jukes / God First

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というわけで、年末恒例の〈今年の20枚〉をまとめてみました。

 なんの権威も影響力も無いセレクションとはいえ、毎年ああでもないこうでもないと頭を悩ませ、ギリギリまで入れ替えていた記憶があるんですけど。なぜか今年はスルッと落ち着きました。
 どうしてもこれは入れておきたい……と、執着したくなる作品が少なかったのかもしれません。今後もずっと愛聴盤になりそうなFKJ、Thundercat、Marker Starling以外はどこをどう入れ替えてもいい。
 ただ、ジャンルはまちまちですが、いわゆるバンドサウンドが少なく、ソロアーティストの作る音楽に惹かれることが多いのは、ここ何年かの個人的傾向です。
 音楽だけでなく、4人以上が集まる飲み会にさえ、めったに顔を出さなくなっちゃったし(笑)。

 いつも20枚の方には入れていない邦楽(そもそも順位をつけるほど数を聞いてないので)については、やはり小沢&小山田両氏のアルバム/シングルに尽きるか、と。
 ぼくが〈シブヤ景〉というテーゼを思いつき、トークショーを始めたのが昨年(2016年)10月でした。今年に入って、まるで示し合わせたかのように揃って新譜を出すなんて、去年の今ごろには予想もしてなかった。
 他の作品と音楽的な優劣が……という意味ではなく、彼らがちょっと動くだけで、周辺の人間が一斉にざわざわする感じをひさしぶりに味わえたのが、なにしろおもしろかったです。夏の大型野外フェスなんて、いつもは他人事のようにかまえてる人たちが、越後湯沢までのルートを急にスマホで調べ出す、とか(笑)。

 今年のベストアルバムのチョイスがスムーズだった大きな要因が、エンターテインメントのサブスクリプション化が日本でも一気に進んだこと。
 欧米のアーティストの中には、CDやレコードのようなフィジカルメディアはもちろん、mp3での配信/販売も行わなず、こうしたサーヴィスでのみ聞くことのできる新曲が急速に増えています。尺60分前後のフル・アルバムという概念が壊れ、1曲からせいぜい4、5曲がカップリングされたEP形式のリリースも多い。近い将来、アルバム単位でベストを考える〈今年の20枚〉というチョイスの方法さえ不自然になってしまうのかもしれません。

 もちろん、SpotifyやApple Musicに楽曲を配給していないアーティストもいますし、似たようなサーヴィスが乱立している現状は、早晩淘汰されていくでしょう。
 とはいえ、そういった環境で音楽(もちろん映画やドラマなども)を楽しむことが、今よりずっと生活に馴染んでいくことでしょう。

 10年くらい前、ぼくは内門洋さんとの共著『レコード・バイヤーズ・ダイアリー』のなかに書いたコラムで、〈水道〉で飲む水と、コンビニやスーパーで買う〈ミネラルウォーター〉に、音楽との新しい付き合い方を例えました。
 簡単に言うと、日常的には水道のように蛇口をひねれば出てくる音楽を聞き、特別なときにパッケージされた水を購入する───この2ウェイになるだろう、と。そのコラムを書いてから10年が経ち、音楽だけでなく、映画もテレビも書籍も、あのとき予想した未来にいよいよ自分の生活が溶け込んだ気がします。
 1940年代に録音されたジャズの次に2018年に吹きこまれたばかりのラップがプレイリスト化される世界のなかで、ぼくたちは新しい刺戟と出会わなきゃなりません。そういう〈混沌〉を楽しめているうちが華だし、好奇心こそが自分のコンパスと信じて、来年もまた楽しく進んでいけたらな、と考えていますが。

 2018年は何冊かの本と、ひさびさに音楽作品も出したいと思い、いま準備に勤しんでいます。早くみなさんにお届けできるようにがんばります。
 ということで、みなさん来年もよろしくおねがいします。


 で、今回選んだ20枚からの楽曲と、2017年にリリースされた曲の中から、お気に入りを50曲以上プラスアルファした全77曲をSpotifyでプレイリスト化しました。
 全部で5時間半もプレイタイムがありますので、少々の渋滞に巻き込まれても大丈夫はなず(笑)。帰省や旅行のお供にぜひ!
 

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